
【終了しました】おかやま文化芸術振興事業「ともとものガラクタ音楽会」


大竹ココです。
ユトサトリ。という劇団の主宰で、主に脚本と演出をしています。俳優もたまーにします。
劇団活動は子供が1歳になるまでは年二回ほどのペースで公演を打っていましたが、今はペースダウン。
最近は外部から舞台脚本のお仕事をいただいたり、高校で演技の講師をしたりしています。
短時間ですが、週三回ほどパートもしています。子供が産まれてから先々のことを考え、パート先の雇用保険に入りました。
子供は現在二歳半。やんちゃで甘え上手な男の子です。お喋りが上手になってきて、交渉することを覚えたので日々心理戦です。ハンターハンター。
子供が保育園に行っている時間、子供が寝てからの時間、子供が起きる前の時間に仕事を詰め込んでいて、基本的には保育園のない、日曜・祝日以外は週5~6日稼働しています。
毎日大変ですが、今の生活は結構気に入っています。
出産前は「演劇」「(生活のための)仕事」という二本の竿で釣りをしていたんですが(お、大丈夫か? この例え)、ここに産後は「育児」という竿が加わる。しかもその竿は常時大物がかかっている。三本はさすがに両立できないので、竿を一本捨てた方が現実的だ。生活費は絶対に必要。となると、捨てなくてはならないのは必然的に「演劇」の竿になるだろう、と考えていました。
ですが、今、三本の竿を使いこなしている自分がいるわけです。しかも産前はほとんど魚(金)のかからなかった「演劇」の竿で魚が釣れている。毎日必死ですが、取捨選択しながら、三本の竿をどれも諦めない、自分らしい生活が送れている気がします。
私は頑張っている自分が大好きなので、今の自分が好きだなあと感じます。かっこいい♡
夫も同業者(劇団主宰、脚本、演出など)なので、公演が近くなると育児に参加するのは中々難しいですが、それ以外の時は、保育園のお迎えやら、お風呂やら、協力的でワンオペも安心して任せられます。子供が急に熱を出した時なども、私が仕事に行っている間子供を見てくれる事もあり、本当に助かっています。ありがとう!!
お金持ちではないけれど、自分たちは比較的時間に余裕のある家族なんじゃないかという話を、以前夫としました。仕事柄どちらかが家にいることが多いし。どっちかが忙しい時は、どっちかが息子と向き合い、愛情を注ぐことができているのではないか。もちろん、もっと一緒にいてあげられたらな、と思う土曜保育の朝もありますが、自分が愛されていることを疑わない息子の態度を見るたびに、この生活を選んで良かったと思います。
先日、桜が満開の公園に三人で出かけました。売店でご飯を買って、木陰に座って食べていると心地よい風が吹いて、息子が「あーしあわせー」と言いました。どこで覚えたの?その言葉!!
幸せだなあと思いました。
「なんだよ、惚気コラムかよ」と思ったそこのあなた。ここからが本題なんです。行かないで。
先日、「こえのわ」を運営しているプラットフォームデザインlabさんの座談会に参加させていただきました(「子育て座談会~俳優・スタッフ一緒に編」参照)。
俳優、スタッフみんなで「子育て×舞台芸術」について語るという企画だったんですが、他の参加者さんに比べ、このトピックについての自分の言葉のなさに驚愕しました(記事を見ると結構喋ってるんですが、喋ってるのと言葉にならないはまた別物で)。皆さんの言葉の端々から、日々、子育てと舞台活動に奮闘しながらもしっかり向き合っている様子が伝わってきました。普段立ち止まって考えていることは、口から、書き物なら手から、解像度の高い言葉がスラスラ出てくるものです。私は今まで子育てと演劇のこと全然考えられていなかったということを身を持って感じました。
「私が子育て演劇人のロールモデルになろうじゃないか!」なんて当初は燃えていたはずなのに。
座談会では、子育てしながら演劇活動することについて、初めて声に出して話しました。初めて。
こんな話していいんだ!みんなの話もっと聞きたい!という嬉しさと同時に、今まではこういう話をしないようにしていたんだな、なぜだろう?という疑問が浮き上がりました。(この気付きを得られたことが何よりの収穫でした。参加して良かった!)
弱音吐いたら負け、じゃないけど、なんというか、子供を育てながら演劇活動をすることに「うしろめたさ」のようなものを感じていて、演劇の現場では「子供を育てています。」ということを公言はしているけど、表面には出さないようにしているというか。座談会ですら、私のような者が子育てについて語るなんて厚かましいのではないか、という引け目を感じながら話している自分がいました。
なぜなのか。
この原因が、座談会でお話した、稽古場で感じた申し訳なさ、プレッシャーに繋がっているのかもしれません(子育て座談会~俳優・スタッフ一緒に編~(前編)参照)
結局、このプレッシャーに耐えられる自信がなくて、現場の仕事から距離を置いているところもあると思うのです。
何が「うしろめたさ」の根源になっているんだろう。ちょっと考えてみました。
(私の心理分析に付き合わせちゃって申し訳ありません。だけどこれ、私以外にも当てはまる方いると思って。)
まず浮かんだのは、出産前後の時期にご迷惑をおかけした演劇関係の方々への申し訳なさです。
当時は人生も仕事も追い込まれていて、多くの方に負担を強いてしまいました。大変申し訳なかったという思いが今もあり、ご迷惑をおかけしてしまった方々には都度お詫び申し上げながら今に至っています。
けれど、それを理由に「演劇をやめるべきだ」とは思いませんでした。むしろその失敗を糧に、同じ過ちを繰り返さないよう、自分の活動スタイルをアップデートすることにしました。
主宰、脚本、演出、プロデュース、助成金申請、その他諸々……元々、かなり無理のある活動を「若さ」「気合」で何とかしていた自覚はあります。いや、何とかなってはいなかった。何とかなったことにしていたという表現が合ってるか。
あの経験は、私にとって「演劇を長く続けていくため」に不可欠な通過点だったとも言えます。
そう考えると、この「うしろめたさ」の正体は、過去への謝罪とはまた別の場所にあるような気がします。
もう一つ思い浮かんだのが、10年近く前、ある演出家に言われた言葉です。
もうずっと忘れていたのですが、子供を産み、演劇の仕事に取り組むたびに、何度も思い出すようになりました。……なんだかこれが根源っぽいので、このまま書き進めることにします。
舞台音響の仕事を20年続けてきて、41歳で結婚しました。
妻の連れ子である小学一年生と年長の女の子の父になりました。
独身で、ほぼ休みなく働き続けてきた自分にとって、家族を持つというのは正直、奇跡に近い出来事でした。
この仕事をしていて良かったと思う瞬間もあります。
関わっていたカンパニーの作品は子どもでも楽しめるもので、劇場に連れていくことができました。
自分がギターで出演する日には、「パパー」と声をかけられることもありました。
舞台の裏側や楽屋も見せることができて、「おんきょう」という仕事を子どもなりに理解してくれているようです。
自分の仕事を、目の前で体験として見せてあげられる。
それは、この仕事を続けてきて良かったと思える瞬間です。
ただ、それ以上に強く感じていることがあります。
この仕事は、家族と相性が悪い。
なぜ帰りが遅いのか。
なぜ休みがないのか。
いくら説明しても、なかなか伝わりません。
人が楽しんでいる時間に働き、
人が働いている時間にも働いている。
じゃあ、いつ休むのか。
休もうと思えば休める。
でも、その分どこかで無理をすることになる。
気づけば、常に仕事をしていないと不安になる体になっていました。
作品のクオリティを上げたいと思えば思うほど、
時間はすべてそちらに流れていきます。
でもそれは、家族にとっては価値にはならない。
カンパニーに不義理をしないように仕事をすると、
家族に不義理になる。
でも、その仕事で家族は生活している。
この矛盾を、ずっと抱えています。
仕事を減らせばいいのでは、と思ったことは何度もあります。
実際に試したこともあります。
でも、空いた隙間にはまた仕事が入ってくる。
気づけば一年が埋まっている。
本音を言えば、家にいたいです。
妻と話して、料理をして、映画を見て、
お酒を飲みながらくだらない話をしたい。
それでも、今の仕事をやめる選択は現実的ではありません。
20年続けてきた仕事であり、
この先も家族を支えていくための手段でもあるからです。
うまくまとめられる話ではないのですが、
独身の頃には知らなかった苦悩を知れたこと自体は、
悪いことではないと思っています。
家族に迷惑をかけながら、
それでもこの仕事を続けていく。
その先に何があるのかは、まだ分かりません。
香港へ向かう飛行機の中で、これを書いています。
結局、こうしてまた仕事の中にいます。
●サイトコンセプトと「こえのわ」が目指すこと
「こえのわ」は、舞台芸術と子育てにまつわる人たちの“声”を集め、つながりを生み出していくプラットフォームです。子育て当事者の声や体験談、子育て当事者ではない方や団体の、子育てする方との創作活動や、取り組み事例などを記事として発信したいという思いからスタートしました。コラムや特集記事の他に、子育て座談会レポートや、一問一答インタビュー、わがやのスケジュールお見せします等のよみものコンテンツ、託児あり公演や子供向け公演、イベントの発信を行っています。

まずは個人がつながりやすいインタビューやコラム、座談会記事等のコンテンツから始めています。今後は、既存のコンテンツを続けつつ、託児・ベビーシッター情報や、助成金制度情報等の、子育て支援や助成、行政の取り組みなどを紹介する情報ページの拡充、相談窓口や会員制ユーザー同士の交流機能、掲示板機能など、ユーザー参加型コンテンツを増やしていくことを目指しています。
● 掲載コンテンツの紹介
いただいたコラムや、活動の取り組みを取材した記事など、これまで「こえのわ」に掲載した記事の内容を、メンバー4人それぞれがピックアップしたものを紹介しました。
【松本ゆい紹介記事 ーわがやのスケジュールお見せします!】
舞台芸術に関わりながら子育てをしている家庭の、リアルな1日の流れを紹介する記事です。 小さなお子さんがいる家庭では、夫婦で保育園の送迎を分担したり、朝の家事前に自分の仕事時間を持ったり。大きなお子さんだと、親が仕事をしている時は学童や習い事に行ったり、はたまた家では家事手伝いをしてくれたり。そして朝の体操やランニングをしている方など、忙しい中でも自分時間を大切にしている方など、それぞれの生き方や時間のやりくりが見えてきます。読む人にとって、生活のヒントになってほしいという思いで記事にしています。
【小林愛子紹介記事 ー子育て当事者でない方達の声】
創作現場においては、子育てをしている人と子育てをしていない人が、共に創作環境を作るにはどうすればいいかを話していく必要があるはずですが、その場が圧倒的に足りていないと感じます。その対話の役割を「こえのわ」が担っていきたいと考えています。これからも子育て当事者だけでなく、様々な立場の人が子育てについて考えられる場にしていくため、子育て当事者以外の方の記事も積極的に載せていきます。
【中村友美紹介記事 ーKAAT神奈川芸術劇場「カイハツ」プロジェクト】
公共劇場が行った、子連れOK!創作ワークショッププログラムを取材した記事です。とても興味深い活動を、記事として見える化したいという思いがありました。5日間のワークショップ内容、ファシリテーターであるパショナリーアパショナーリアのお二人へのインタビュー、参加者とKAAT神奈川芸術劇場の方からの感想などを、ライターの丘田ミイ子さんが執筆してくださいました。
【原田愛紹介記事 ー子どもと舞台芸術の出会い】
紹介する二つの記事は、子どもたちが舞台作品と出会うために、出会いをどのようにデザインするのか、その場をどう開いていくか、という必要性と実践を問い直す記事になったと思います。単に子ども向けに何か用意するということではなく、その出会いがその後の親子の関わり、社会との関わりにどうつながっていくのか、ある種の文化の入り口をどういうふうに設計するのかということを、「こえのわ」も一緒に考えていけたらいいなと思います。
●子育て座談会の実施報告
舞台芸術と子育てをテーマにした座談会を、年間を通して定期開催しています。子育てと活動の両立に関する悩みの共有や、同じ立場の人同士のつながりづくりを目的としています。2025年度は計5回開催し、延べ15名の方が参加してくださいました。
○各回で出たトーク例
「何年も先の仕事を受けるが、子どもは授かりものなので、仕事と出産のタイミングでとても悩んだ」
「団体が稽古場や劇場に子どもを連れてきていいよ、と言ってくれるのはとてもありがたいが、いざ連れていっても環境が整っていないと、子どもを居させることや、稽古に集中することが難しい」
「子育てをしている、していないに限らず、一人一人の声が尊重されるようになってほしい」
「一人一人がパーソナルな事情を声に出しやすい環境・現場にするにはどうしたらいいか」
等、家庭や現場での体験談から、さまざまな意見や問題、課題が毎回出ています。
○ご参加いただいた方のアンケート例
「話すことで気持ちがスッキリした。軽くなった。」
「学校のママ友と話している時のどこか打ち解けきれない感じがこの座談会では皆無だった。」
「オンライン開催と知って心が軽くなった。」
「参加者全員が女性だったので、男性にもこう言う機会があっても良いのでは?と思いました。参加したい男性があまりいないかも知れませんが、女性だけの問題では無いと思うので。」
○団体所感
参加者同士でしっかり話し合うことのできるこの座談会は、今後も続けていきます。地方に住んでいる方や男性の参加など、参加者に偏りが出ないように積極的に参加募集していきたいと思います。また、今後取り上げるテーマとして、個人的な話をじっくり聞くクローズドな会を開くなど、より参加者の気持ちにそった座談会の開催も検討していきます。
そら 大きな劇場だと、託児ありの公演も増えてきたなとは思うんですけど、そういう劇場でも主催公演に限ってだったりするんですよね。
子連れ観劇に力を入れてる劇場ですごい気になってた舞台があったんですけど、劇場主催公演じゃなかったから託児がなくて、諦めるしかなかったんです。観たかったなぁって今でも思ってる。
ココ 私、すっかり勘違いして、託児があると思って予約したら、主催公演じゃなかったからダメだったっていう祝日月曜の日があって、もう保育園もダメだし託児も無いし、迷った末にシッターさんを呼びました。
時間がどうしようもないときは、シッターさんに頼んで見に行くことがあります。
そら そういうときって、お家でシッターさんに見てもらうんですか?
ココ あ、そうです。お家に呼んで、私が出かける前に来ていただいて、私が帰ってきたらそこで終了。
そら それですごく思うのが、劇場近くの託児とか、劇場近くの遊べるところに連れてってくれるシッターさんがいてくれたらいいのになって。料金的にも少しでも預ける時間を短くしたいなって。
原田 預けたことのあるシッターさんで、そういうこともやりますって言っていただいたことあります。出かけた先で待ち合わせして、預かってもらって、出かけた先で解散みたいなこともできますよって。サービスによっては、そういうマッチングがうまくいけばできるんじゃないかなっていう。
そら あ、マッチング次第なんですね。やっぱりちゃんと探す努力をするべきなんだな。。
原田 プラスいくらかかるけどやるよっていう方が、初めましての方でも多分います。普段頼んでるから、いつもの値段でいいよってその方は言ってくださって、劇場とかでちょっと見てもらうとかもできるのかなってそのときは思いました。
うちは子供1人で、しかもその方にけっこう長く見てもらってたから、うちの娘だったら家の外でも遊ばせられるから大丈夫かもっていうところまで来たから言ってくださったのかもしれないですけど。
でもサービスとしてやっている方もいると思います。ま、そういうの理想的にはね、劇場とかで申し込みやすいといいのかもしれないけど。
そら 嬉しいなって思っちゃいますね。
以前見たそういうサービスの口コミで、これは美容室だったんですけど、その美容室が手配した保育士さんがあまり良い方じゃなかった、というものがあったんです。
託児を頼めたら良いのにって思ってたけど、こういう問題もあるのかって思うと、信頼できる人に預けられるという点では、継続してお願いできるシッターさんの存在は大きいですね。
原田 短時間、公園で預かってくれるとかのサービスもありますよね。
そら 事務所で、子供も一緒のオーディションが何件かあったとき、参加してた人と話してたんです。子連れ世代の俳優のオーディションするときに、会場近くの会議室に事務所でシッターさんを手配してくれたらいいのにねって。
原田 私たちがイベントやるときはそういうことが必要だねっていう話もしてるので、一定数申し込みがあればできると思うんですけど、やっぱり事前予約せずに、直前に行って利用できるっていうのは、なかなか難しいってメンバーでも話し合っていて。
飛び込みでも預けられるのが理想だけど、安全面とか費用面とか考えるとやっぱりハードルが高いなと。
でも、ベビーシッターなどのマッチングサービスなら利用できるような気もするので、そういうのが進むといいなって私も思います。観劇するためのハードルを下げるっていうか。
そら いや、本当下げてくれたらすごく嬉しい。うん。嬉しいという希望だけでなんか恐縮なんですが…。
松本 私が行ってる歯医者は、当日行って子供預かってくれるんですよ。保育師さんがいるときもあるし歯科衛生士さんが見てくれるときもあるんですけど、ちっちゃい託児ルームで、「お願いします」って言えば当日預かってくれるんです。
事前予約が無いのがとても助かっていて。そういう風にフレキシブルに対応できたらいいんですけど、難しいですよね。
なおえさんの団体は、俳優やスタッフが子供連れてきていいんだよの環境ですけど、観劇のお客さんに対するサポートはありますか? 託児とか。
なおえ そうなんです。今それをふと考えていて…やっぱり、劇場によって託児ができる場所があるかとかの問題もあったと思うので、多分やれてないんじゃないかな。
ココ 私が働いてた劇場でなおえさんたちがやったときは、託児やってたと思います。
なおえ あ、そうなんですね。ありがとうございます。
全然中の人が知らない(笑)。うん、できればやりたいけれども、そうなんです。
費用のこととか規模のこととか、いろいろな裏の事情もあると思うので、難しいなって今すごい聞きながら思ってました。
ライト あ、一応今調べたら、直近の公演は託児サービスありました。
なおえ あっ、あった?え、私マジでポンコツなので本当にすいません(笑)。
あったみたいです。よかった。
ライト ってことは、全公演やってるんじゃないですか?(笑)
なおえ すいません。ポンコツすぎて本当にもう全然裏の事情分かってない(笑)。やってました! はい(笑)。
そら 素晴らしい。ありがたい。
ライト でもその、託児を劇団が入れる費用負担っていうのは大きいんですよね。正直。
そら そうですよね。
ライト 本当、だから、託児あって欲しいってすごく思うし、ギリギリまでキャンセルとかできたらいいなってすごく思うけど、劇団の懐事情のことを考えると、ちょっと、もう、難しい…難しいよね…分かる、分かるよって、すごい思っちゃう。
前編はこちら
松本 次のテーマですが、なおえさんからいただいた、「プライベートでもお仕事でも、子育てしてみて良かったこと・助かったこと・役立ったことなどをみなさんから聞きたい」こちらについて話したいと思います。
確かに、子育てと舞台の話をしてると、難しいなって眉間にシワが寄っちゃうような話題が多くって、もちろんそれを話していくことがすごく大事なことなんですけれども、
それと同じぐらいの熱量で「子育てめっちゃ楽しいよね」みたいな話も是非聞きたいなって、私も思いました。
なおえさんいかがですか? このテーマにした理由についてお話しいただけますか?
なおえ あ、もう今まさにおっしゃっていただいたような感じで、社会人でとか介護でとか大変な方っていっぱいいらっしゃって、
そういう方が演劇とか舞台とか芸術をやる中で大変なお話ってやっぱりいっぱい出てくるんですよね。
で、それを発信するってめちゃくちゃ大事なことだとは思ってるんですけど、たまには、お仕事で実はこれが良かったよとか、こういうことが助かったよとか、そういうお話も共有できればいいなと思ったので、今回ちょっとお聞きしたいなと思って、はい。テーマにしてみました。
松本 なおえさんご自身はどうですか?
なおえ そうですね。毎日がもうぐちゃぐちゃというか、日々がすごいスピードで過ぎていくので、よく分からないままここまで来ちゃったっていう感じはあるんですけど。
でも、これは俳優としてなんですけど、やっぱり俳優やってると、子供を持つ母親の役とかも絶対あるわけですよね。
で、もちろん子供をお持ちでなくても、見事な演技をする方っていっぱいいらっしゃるし、何て言ったらいいんでしょう、いないからできないってことはもう本当に、決して無いと思ってるんですけど、
やっぱり、自分の命を賭けてもいい存在っていうのは本当に初めてだったので、そういう経験ができたことと、この子を危ない目に合わせるやつは呪い殺してやるみたいな(笑)
そういう気持ちとか、もうとにかく子供がいなかったら多分味わえなかったですね、自分より大事なもの、みたいなのを。
それを経験できたのは、本当俳優としても良かったなって思っています。
あと、いろんなことが大らかになった気はします。
けっこう私、神経質で、あれダメ、これダメ、ここ汚さないで、ここ綺麗にして、みたいな人だったんですけど、ちょっとこぼしても、「あ、いいよ~、拭くから全然大丈夫~」みたいな。
その大らかさはわりと芝居にもつながっているので、そういう面では良かったかなっていうのが自分の話ですかね。
他の方はどうなのかなっていうのは、すごく気になるところです。
松本 中村さん、これ良かったなっていうことありますか?
中村 私もなおえさんがおっしゃるように毎日がいっぱいいっぱいな状態なので…でもそうですね。うーん。
私は、子供と一緒に過ごしたりすることで、日々の食事にすごい意識がいくようになって。当たり前なんですけど、やっぱり衣食住って、生活のベースだなと。
自分自身、どちらかというと食をかなり雑にしてきたというか、仕事中心ですぐ食事を抜いちゃったり、朝ごはん食べないとかそういう生活をしてきまして。
子供との生活の中で仕事を続けていこうと思った中で、改めて、身体を作るための食事ってとても大事だなと実感して、食について勉強したいと思うようになりましたね。
あと稽古場になるべくお弁当とか作っていくようになって、それは節約の面もありますけど、子供との生活を通してそうしたことを大事にしていきたいなと。
現場がある忙しいときとかにもなるべく、おにぎりとちょっとおかずぐらい入れていこうとか、そうした部分に視点が開いていったんで、それが今すごく楽しいです。
明日あれ食べたいなとか、子供とこれ食べたいなとか、夕食に余ったおかずを明日の稽古場に持っていこうとか、それを考えるのが、今めちゃめちゃ楽しいですね。
松本 分かります。1人の生活で舞台やってると、もう自分の生活なんて無いようなもので…本当に軽くコンビニで済ませて、生きてればいいやみたいなぐらいの感覚になっちゃいますもんね。
子供がいると、やっぱりその子のために時間をかけるし、手間もかけるし、そうすると自然と自分もそうなるし、いいですもんね。すごい分かります。
中村 子供が残した夕食を、やっぱり食べなかったか〜と思いながら次の日の現場のお弁当に入れて食べるのも、それもまた味わい深いといいますか。
松本 他の皆さんはどうですか? こんなエピソードあるよ~みたいな。
そら うちの子は今4歳ともうすぐ2歳で、見ていてつくづく面白いなと思うのが身体感覚を獲得していく過程だったり、言葉を獲得していく過程みたいなところですね。
文字がまだ読めない子供たちの認知している世界がすごい興味深くて、それをしみじみと楽しんでいる感じはあります。
何でしょうね。2人を見ていると、「私の世界って文字を基本に構成されてるんだな」って感じるんです。だけどまだ読めない子供たちからすると、例えば歌の歌詞なんかも、聞いていて聞こえたように歌おうとするけど、聞こえ方も文字を介していないから自由だし、口の筋肉がまだ上手には使えないから思ったようには発語できない。だから全然違うこと歌ってたりするんですよね。
あと、寝返りを打つときってこういう風に体を使っていくんだ!とかっていうことが、俳優訓練のやってきたこととつながって、「あ、こういうことだったんだ!」みたいなことがたくさんあって、面白かったです。
松本 なるほど…。
そら びっくりするけど納得しちゃうことも色々あって。
「おかえり」「ただいま」って言うじゃないですか。もうすぐ2歳になる息子は今、その二つの区別がついてないんですね。自分が帰ってきて家の中に入ったときに「おかえり」って言ってたりするんです。
あ、そっか、「おかえり」という言葉を、「人が家に帰ってきたときに使う言葉」と認識してるんだな、自分が帰ってきたときは「ただいま」、誰かが帰ってきたときは「おかえり」なんだけど、その状況の違いって、そりゃそうだよね、分かんなかったよね、みたいな。
あと、私がナレーションもやるからっていうのもあると思うんですけど、私は言葉を発語するとき、「文字があって、その文字の滑舌の正解みたいなものに合わせていく」という感覚がすごく強かったんです。
でも子どもが喃語から言葉を習得していく過程に親として触れていたら、考えてみたら当たり前なんですけど、文字に合わせて口の筋肉を動かしていくんじゃないんだなってことがすごく新鮮で。
一生懸命何か言ってて、多分明確に何か指してることは分かるんだけど、何を言ってるんだろうなって思ってたら、「あんた」って音がこの子にとっては「トマト」だったんだとか。
「ああ、そうやって言ってたのか!」ってずっと聞いててやっと分かったときがとても面白くて、そういうことが表現者としてインスピレーションだったり、役へのアプローチだったり、何か根源的なことに繋がるんじゃないかなって思ったりしました。
松本 すごい分かります。私も今下の子が2歳で言葉を発し始めているんですけれど、なんか本当、親でも何言ってるのか分かんない。
親なら分かるのかなっていうイメージだったんですけど、それも積み重ねですよね。
そら いや、本当に、むしろ保育士さんの方が分かってる。昨日の話で、うちの下の息子はいたるって名前なんですけど、いたるくん、いたくんって呼ばれてたんです。
息子がお友達とおもちゃの取り扱いしながら「たっくの!たっくの!」って言ってて、保育士さんが「あ、いたるくんの!って言ってるのね」って。私は保育士さんに言われてやっと「自分のことたっくって言ってたのか!」って分かるっていう。
いたる…いたくん…たっくん、あ、なるほどなるほど、「いたる」の「い」は確かに発音しづらいよね、みたいな感じで、そういうのがすごい面白い。
松本 かわいいですね~。だんだんだんだん分かってきますよね。
そら はい~。
松本 上の子が4歳さんだったら、それこそ3歳から4歳ってすごい変わるなって思ってて。
そら あ、そうですね。確かにそうでした。
松本 誤解を恐れずに言うと、今までは、子猫とか子犬をかわいがるように、かわいいかわいいだったのが、だんだん1人の人間として確立してきて、なんだろう、かわいがるだけじゃないというか。年齢が上がると接し方も変わってきますよね。
そら はい。けっこう親の言ってることやってることも真似されて、「ああ、親の背中を見て育つってこういうことか…」みたいなのもすごくありました。
うちの子、偏食がちょっとひどいんですけど、興味を示したから「じゃあ食べる?」って聞いたら「いらない」って言われて「いらないんかーい!」ツッコむ、みたいなことしてたら、最近何かのときに、上の子が「◯◯なんかーい!」って辿々しい口調でツッコむようになってきちゃって「そういうとこ覚えられちゃうんだ…」とか思いました。
松本 かわいいですね。
そら かわいいです(笑)。とてもかわいいです。でも喋る前までって、本当、犬とか猫を愛でている感じなんですよね。それがすごく幸せな時間だったんですけど、喋るようになってきて「あぁこうやって人になっていくんだなぁ」って思うようになりました。
松本 今回はココさんから、「子供を育てながらの演劇人としてのキャリアの積み方」というテーマを事前に頂いていました。こちらについて、ココさん、お話しいただけますか?
ココ はい。私は、妊娠・出産を機に演劇活動を休むってことをしなかったんです。
妊娠中も2本公演打って、とにかくやらなきゃ、みたいな気持ちで出産予定日の前日まで脚本書いてたレベルでやってて。
出産後も、生まれて半年くらいで、元々決まってた公演があったので、保活とかしながら、一昨年なんとかやり終えたんです。
でも、それがとっても大変で、正直、自分の劇団で公演を打つって、子供を育てながらは難しいな…みたいな気持ちになって、子供を持ってる状態でどういう風にこの後の活動を考えていけばいいのか、どのくらいの規模感で自分が活動していきたいのかが、分からなくなってしまって、焦っています。
ただ、個人的に良い変化だなと思うこともあって。子供ができたことで、人生って長いんだってことを改めて、当たり前のことなんですけど、感じまして。
子供がいないときはもうガムシャラにやってたんで、今何とかしないと!今頑張らないと!どうにもならない!って気持ちだったのが、子供ができて成長するにしたがって、自分もその分年を重ねるじゃないですか。当たり前ですけど。
それが心地よくもあって。自分の人生がもう少し落ち着いてからまた活動を始めるっていうのも全然アリだなとも思ってるんですけど、そのへんが自分の中でうまく整理がついていないので、
皆さんが妊娠出産したときに、そのあたりをどうやって考えたのかなっていうのをぜひお聞きしたいなと思って、このテーマを出させていただきました。
松本 ありがとうございます。どうですかね、皆さん。
私は今は全く現場に立たなくなってしまったので…。ただ私の話もさせていただくと、私、1人目のときは、それこそ産む前までは、もう両立する気満々でいたんですね。むしろちょっと焦るっていうか。
子供がいても舞台の仕事を続けていきたい、途切れずにやりたい、だから、どんどん仕事を取ってかなきゃって思ってて。
だけど実際生まれてみたら、やっぱりうまくいかなくって。突然病気になるし、昼寝は必須なのねとか、見えてなかったことが出てきて、厳しいなっていうことも分かってきて…そんな中でも演出助手の仕事は続けてたんですけれども、だんだん、現場やらないで私が家にいた方が家族みんな幸せだし、私もその方が落ち着くなって思うようになったんです。
あと2人目が欲しいっていう気持ちもずっとあって、現場に対してだんだん消極的になっちゃって、実際2人目が生まれてみたら、現場に対する気持ちがフェイドアウトしていったんですね。
あとはプラットフォームデザインlabを通して、今までとは違う形で演劇に関わってるっていうところで、今すごく満足していて、だから、これはこれで、私の形がこうなったなっていう感じなんですよね。ここにいる皆さんは、続けてらっしゃる方の方が多いので、私もぜひお話お聞きしたいなと思うんですけれども、どうでしょうか。
みどり 私は、いた会社ができて3年目とか4年目とかのまだちょっと新しい、小規模な会社だったんですけど、どんな仕事をしていこうかっていうのを会社として模索している状態で、私は舞台音響の仕事をやりたかったんですけど、会社の他の業務が多くなって、やりたい仕事があまりできなくなってしまったんですね。
それで、結婚とか出産とかのタイミングがかぶったのもあって、会社を辞めたんですね。
で、出産して、もちろん現場に出るっていうのは難しかったんですけど、それまでお声がけしてくれてた劇団の方だとか、主催の方で、どうしてもみどりちゃんにやってほしいなとか、別の人に頼んでみたけどやっぱりみどりちゃんがいいなって言ってくださる方が何名かいらっしゃって、
それで、ちょっと現場には出れないですけど、お手伝いとかプランはやるので、オペレーションは別の方で…っていう今の形がだんだんできていったのかなとは思っています。
今は赤ちゃんがいるので、ちょっと今後のことは分からないですけど、がっつり現場に戻るかって言ったら、ちょっと難しいかなとは思ってて……。
子供たちすごい可愛いので、一緒にいたいなって私が思ってて、夫も私と同じ舞台音響の仕事をやってるっていうのもあるので、
家族のスケジュールとか、そういう余裕が出てくる…ま、いつ出てくるのか分かんないんですけど…そういうときに、私もちょっと音響のことできたらなぁ、とは。
下の子が幼稚園とか保育園とか入って、昼間時間が取れたら、ちょっと稽古見に行くとか。もうちょっと幅広くというか、演劇のお仕事を、観劇するとかももちろんそうなんですけど、そういうのができたらいいなって思ってはいます。はい。
松本 ありがとうございます。うんうんうん。そうですね。
松本 原田さんは、今もバリバリ子育てと大学・美術のお仕事とやってらっしゃいますけど、どうですか? キャリアの積み方っていうところで。
原田 私も、出産前はこれだけやってたのにな…っていうことを、やっぱり毎現場すごく考えてしまって。
100%、舞台のことだけをやってる人間だったので、その頃に比べると、例えば夜遅くまで稽古場にいるのが難しかったりとか、土日に打ち合わせを入れたいって言われたら調整しなきゃいけないみたいなこと、毎回そこにノッキングがあるっていうことに、未だに慣れてなくて。
もう6年も子供がいるんですけど(笑)。でも、それを上回るぐらい、子供を育てているということ、家族がいるということによって子供がこれから育っていく社会がどういう風になっていったらいいかなっていう視点をもらえたことは、本当に子供を持って得られた最高のことだと思っていて。
そこを軸に、自分のキャリアだけじゃなくて、何か、これからがより良くなっていくように活動していけたらいいなって考えるようになりました。
ただ、大きいことで言うとそうなんだけど、やっぱり小さいこと…例えば、明日締め切りの仕事の時間をどこで捻出するかとか、来週の発注に間に合うようにスケジュールを全部パズルしても、子供の予期せぬ事態……今日も、朝から娘が耳が痛いって言っていて、あ、明日病院連れてかなきゃいけないのかってなったら、ちょっと朝入ってるこれを午後にして、もしくは夫が朝予定してたこれを他のところに入れて、もう家族でスケジュールをパズル、テトリスしながら、本当に日々、未だに試行錯誤してて……
ま、それも何ですかね。なんか、ままならないけど、ままならない中で最大限働くってことで、かえって何か生み出す力をもらえているように思います。
打ち合わせをしてるときに、舞台のことだけやってたら絶対に発想できなかったことがあったりすると、新しい視点が着実に積み上がってるな、自分の中にそういう財産があるんだ、と実感することがあります。
それは全ての時間を制作に傾けることと、同じぐらい価値があるのかなっていうふうに考えが変わったことが、今の私にとっては、続けていける原動力になってるかなって思います。
今までだったら、オファーがあった仕事はひとつも断っちゃいけないなと思ってたけど、時には断るという選択肢も考えたりとかするようになりました。
そういうジレンマの中で、子供を育てながら仕事を続けてる先輩方も苦労したのかなって、その人たちの顔も思い出しながら、あと後輩のことも思いながらこう、続けていけているっていう感じですかね。
松本 ありがとうございます。なおえさんはいかがですか?
私の仕事は俳優である。
普段は舞台の仕事の他に、ドラマやアニメの吹き替え、たまに映像の仕事もしている。
夫は会社勤め。
娘は今年5歳になり、保育園に通っている。
私の仕事は内容によって勤務時間が変化するので、
夜まで仕事が入っている日などは夫が早退きや在宅対応をしてくれて、
なんとかかんとか…やっていけている。
出産後は保育園の時間の関係であまり夜まで働けず、吹き替えの仕事がメインになっている。
でも、稽古時間を調整していただいたり、多くの方のご理解と協力もあり、
細々と舞台も続けられている状況だ。
母になってもうすぐ5年…
最近思うことを書いてみる。
うちの子は、思っていたよりずっと聞き分けがいい。
確かにイヤイヤ期はあったけれど、癇癪を起こすタイプではなかった。
朝の支度も、促せば動く。
私が忙しい日などは、静かに一人で遊んでいてくれる。
正直めちゃくちゃ助かっている。
でも、ときどき思う。
…あれ?空気読んでる?
母としての私は、あまり自慢できるモノではない。
妊娠中思い描いていた子育ては、全然実現できていない。
購入したモンテッソーリの本は、一度も開いていない。
育児とキャリアの両立は、予想以上に険しい道のりだった。
自分は満足かもしれないけど、子どもに無理をさせているのではないか?
私が、空気を読ませているのではないか…
うん、、、そうかもしれない。
怒らないように気をつけてはいるけれど、余裕がない日の私は、きっとわかりやすい。
「あ、今日は静かにしておこう」と判断するには十分だ。
私は結構…激情型だ。
喜ぶときも全力、怒るときも全力。
舞台ではそれが歓迎されることもある。
怒りや嫉妬や惨めさは、大きければ大きいほど武器になることがある。
でも家庭では逆。
増幅させてはいけない。
一度強く出た言葉は、取り消せない。
母親にリテイクはない。
だからこそ怖い。
我が子が黙ったまま上目遣いで私を見るとき、彼女の心の中はどうなっているんだろうとゾッとする。
私は理不尽を知っている。
この仕事を続けてきてビシビシと肌で感じていること、それは
・努力したからといって報われるとは限らない
・優等生は嫌われる
・やったもん勝ち
・全ては結果
・結局、運と人柄
まあでも、この業界に限らず、社会というものは全体こんな感じじゃないだろうか。
我が子がこれから出ていく世界も、きっと理不尽だろう。
空気を読めることは武器になる。
特に日本では。
でも、自分が疲れてしまう可能性も大いにある。
嫌なときにはっきり「NO」と言えること。
悔しい時にちゃんと悔しがれること。
怒っていい場面でちゃんと怒れること。
それらは生きてく上で絶対大切なことだと思う。
別に私は「社会は厳しいんだぞ」と脅したいわけじゃない。
…そもそも最初の理不尽が母親であってはならない。
ただ、我が子が理不尽を経験した時に
「それ、マジで理不尽だよね〜」と寄り添える母でありたい。
私の激情はなかなか消せない。
でも、そのベクトルだけは間違えないようにしたい。
ママはいま怒ってる。
でもあなたのことを嫌ってるわけじゃない。
それをちゃんと言葉で伝えることが、
理不尽を知っている母としての、
せめてもの誠実さだと思う…
これから理不尽な世界に出ていく我が子と、一緒に怒ったり泣いたりできる人間でありたい。
今回教えてくれたのは…舞台監督Tさん(配偶者:個人事業主、お子さん:長女6歳・年長)




今回は、文学座こどもげき「歴博で解け!怪人二十面相からの謎の手紙」の観劇レポをします!
ずっと楽しみにしていたこどもげき、我が家は夫・私・6歳長男・2歳長女の家族4人で行ってきました。
このこどもげきは、お芝居40分+謎解き20分の構成ですが、これがうちの長男には大ヒットでした。
まず芝居に釘付け。
劇場ではないフラットな空間での公演だったので、俳優がとにかく近いです。
怪人二十面相が翻すマントが起こす風が顔にあたったり、少年探偵団たちが走る足音が振動として伝わったり、とにかく臨場感がすごい。
俳優のパワーをこれでもかというくらい浴びました。
6歳長男はもちろんのこと、なんと2歳長女も集中を切らさず最後まで静かに観続けていました。
私としても、歌も、テンポ良く進む芝居も、コミカルな演出も全て面白かったのですが、これが謎解きに繋がるんだな、と思うとまた別の集中力が働いて面白かったです。

そして芝居が終わると展示室に移動して謎解きスタート!
参加者全員に用意された探偵ノートと問題シート。
歴博の展示物を見ながら探偵ノートと問題シートを行ったり来たりして謎を解いていきます。
この謎解きがちゃんと難しくて面白い!すごい凝っている!!
展示物をしっかり見ないと解けない問題や、いわゆる謎解き独特のひねった問題など、とにかく多彩な問題がたくさん。
謎を解けば解くほど歴博の知識が深まる、とても丁寧に作られた問題でした。
まだまだ観るよりも体験したいが勝つ長男にとっては謎解きがあったことが最高の相乗効果でした。
座組みの方に都度都度「頑張って!」と声をかけてもらい、父のサポートもありつつ最後まで自分でしっかり考えながらゴールへ向かっていました。
小学生向けの問題のため、年長さんの長男は謎解き時間がかなり長引いてしまったのですが、スタッフの方たちが見守ってくれ、適宜ヒントをくれるなどしてサポートしてくださいました。
私は謎解き時間はチョロチョロ逃げ回る2歳児を追いかけ回して終わったのですが、展示物のあちこちに用意されたボタンを長女が押してまわることで、少しですが展示物の魅力にも触れられました。ボタンを押すとパッとジオラマの街灯が灯り、当時の歌や喧騒が流れる「三越裏のカフェー街」という展示物、めちゃくちゃ可愛かったです。
新宿歴史博物館。こんな素敵な空間があったんだ、と新しい出会いに嬉しくなりました。
最後は謎解きの答え合わせを俳優さんとして、『正解!きみも探偵団だ』と言ってもらえました!
記念バッチと賞状をいただき、照れ照れしながらも嬉しそうな長男でした。
あと、チョロチョロちょろ助の2歳児は、会場に戻るたびに「おかえりー」と声をかけてもらえて、母はそのお気持ちが嬉しかったです。
いただいた賞状には、「むかしの人が大切にしてきたものを、今の私たちが知ること」「その上で未来をどう進むか考えること」がわかりやすくじっくり書かれていました。
最初から最後まで、この作品がとても丁寧に考えられ、作られたことがよくわかりました。
元々私はベイビーシアターやこども劇が好きなのですが、それはやはり、「子どもに芝居の楽しさを知ってほしい」という企画者・座組みの気持ちが伝わってくるからで、今回の文学座こどもげきも、こちらの期待以上にその思いが伝わり、本当に感謝の気持ちでいっぱいになりました。
当日パンフレット・探偵ノート・問題シート・賞状、いただいたもの全てを家でしみじみ読みながら、この記事を書いています。
本当に楽しかったな。
次回の文学座こどもげきは、2026年7月18日から開催されるそうです。
みなさま是非。きっと特別な体験になるはずです。