仕事に誠実でいるほど、家族に不誠実になる

舞台音響の仕事を20年続けてきて、41歳で結婚しました。
妻の連れ子である小学一年生と年長の女の子の父になりました。

独身で、ほぼ休みなく働き続けてきた自分にとって、家族を持つというのは正直、奇跡に近い出来事でした。

この仕事をしていて良かったと思う瞬間もあります。

関わっていたカンパニーの作品は子どもでも楽しめるもので、劇場に連れていくことができました。
自分がギターで出演する日には、「パパー」と声をかけられることもありました。

舞台の裏側や楽屋も見せることができて、「おんきょう」という仕事を子どもなりに理解してくれているようです。

自分の仕事を、目の前で体験として見せてあげられる。
それは、この仕事を続けてきて良かったと思える瞬間です。

ただ、それ以上に強く感じていることがあります。

この仕事は、家族と相性が悪い。

なぜ帰りが遅いのか。
なぜ休みがないのか。

いくら説明しても、なかなか伝わりません。

人が楽しんでいる時間に働き、
人が働いている時間にも働いている。

じゃあ、いつ休むのか。

休もうと思えば休める。
でも、その分どこかで無理をすることになる。

気づけば、常に仕事をしていないと不安になる体になっていました。

作品のクオリティを上げたいと思えば思うほど、
時間はすべてそちらに流れていきます。

でもそれは、家族にとっては価値にはならない。

カンパニーに不義理をしないように仕事をすると、
家族に不義理になる。

でも、その仕事で家族は生活している。

この矛盾を、ずっと抱えています。

仕事を減らせばいいのでは、と思ったことは何度もあります。
実際に試したこともあります。

でも、空いた隙間にはまた仕事が入ってくる。
気づけば一年が埋まっている。

本音を言えば、家にいたいです。

妻と話して、料理をして、映画を見て、
お酒を飲みながらくだらない話をしたい。

それでも、今の仕事をやめる選択は現実的ではありません。

20年続けてきた仕事であり、
この先も家族を支えていくための手段でもあるからです。

うまくまとめられる話ではないのですが、

独身の頃には知らなかった苦悩を知れたこと自体は、
悪いことではないと思っています。

家族に迷惑をかけながら、
それでもこの仕事を続けていく。

その先に何があるのかは、まだ分かりません。

香港へ向かう飛行機の中で、これを書いています。
結局、こうしてまた仕事の中にいます。

こえのわ2025年度 活動報告会レポート

1部 :こえのわWEBサイトについて

●サイトコンセプトと「こえのわ」が目指すこと

「こえのわ」は、舞台芸術と子育てにまつわる人たちの“声”を集め、つながりを生み出していくプラットフォームです。子育て当事者の声や体験談、子育て当事者ではない方や団体の、子育てする方との創作活動や、取り組み事例などを記事として発信したいという思いからスタートしました。コラムや特集記事の他に、子育て座談会レポートや、一問一答インタビュー、わがやのスケジュールお見せします等のよみものコンテンツ、託児あり公演や子供向け公演、イベントの発信を行っています。

まずは個人がつながりやすいインタビューやコラム、座談会記事等のコンテンツから始めています。今後は、既存のコンテンツを続けつつ、託児・ベビーシッター情報や、助成金制度情報等の、子育て支援や助成、行政の取り組みなどを紹介する情報ページの拡充、相談窓口や会員制ユーザー同士の交流機能、掲示板機能など、ユーザー参加型コンテンツを増やしていくことを目指しています。

● 掲載コンテンツの紹介

いただいたコラムや、活動の取り組みを取材した記事など、これまで「こえのわ」に掲載した記事の内容を、メンバー4人それぞれがピックアップしたものを紹介しました。

【松本ゆい紹介記事 ーわがやのスケジュールお見せします!】

舞台芸術に関わりながら子育てをしている家庭の、リアルな1日の流れを紹介する記事です。 小さなお子さんがいる家庭では、夫婦で保育園の送迎を分担したり、朝の家事前に自分の仕事時間を持ったり。大きなお子さんだと、親が仕事をしている時は学童や習い事に行ったり、はたまた家では家事手伝いをしてくれたり。そして朝の体操やランニングをしている方など、忙しい中でも自分時間を大切にしている方など、それぞれの生き方や時間のやりくりが見えてきます。読む人にとって、生活のヒントになってほしいという思いで記事にしています。

「わがやのスケジュールお見せします!」一覧はこちら

【小林愛子紹介記事 ー子育て当事者でない方達の声】

創作現場においては、子育てをしている人と子育てをしていない人が、共に創作環境を作るにはどうすればいいかを話していく必要があるはずですが、その場が圧倒的に足りていないと感じます。その対話の役割を「こえのわ」が担っていきたいと考えています。これからも子育て当事者だけでなく、様々な立場の人が子育てについて考えられる場にしていくため、子育て当事者以外の方の記事も積極的に載せていきます。

【中村友美紹介記事 ーKAAT神奈川芸術劇場「カイハツ」プロジェクト】

公共劇場が行った、子連れOK!創作ワークショッププログラムを取材した記事です。とても興味深い活動を、記事として見える化したいという思いがありました。5日間のワークショップ内容、ファシリテーターであるパショナリーアパショナーリアのお二人へのインタビュー、参加者とKAAT神奈川芸術劇場の方からの感想などを、ライターの丘田ミイ子さんが執筆してくださいました。

【原田愛紹介記事 ー子どもと舞台芸術の出会い】

紹介する二つの記事は、子どもたちが舞台作品と出会うために、出会いをどのようにデザインするのか、その場をどう開いていくか、という必要性と実践を問い直す記事になったと思います。単に子ども向けに何か用意するということではなく、その出会いがその後の親子の関わり、社会との関わりにどうつながっていくのか、ある種の文化の入り口をどういうふうに設計するのかということを、「こえのわ」も一緒に考えていけたらいいなと思います。

●子育て座談会の実施報告

舞台芸術と子育てをテーマにした座談会を、年間を通して定期開催しています。子育てと活動の両立に関する悩みの共有や、同じ立場の人同士のつながりづくりを目的としています。2025年度は計5回開催し、延べ15名の方が参加してくださいました。

○各回で出たトーク例

「何年も先の仕事を受けるが、子どもは授かりものなので、仕事と出産のタイミングでとても悩んだ」

「団体が稽古場や劇場に子どもを連れてきていいよ、と言ってくれるのはとてもありがたいが、いざ連れていっても環境が整っていないと、子どもを居させることや、稽古に集中することが難しい」

「子育てをしている、していないに限らず、一人一人の声が尊重されるようになってほしい」

「一人一人がパーソナルな事情を声に出しやすい環境・現場にするにはどうしたらいいか」

等、家庭や現場での体験談から、さまざまな意見や問題、課題が毎回出ています。

○ご参加いただいた方のアンケート例

「話すことで気持ちがスッキリした。軽くなった。」

「学校のママ友と話している時のどこか打ち解けきれない感じがこの座談会では皆無だった。」

「オンライン開催と知って心が軽くなった。」

「参加者全員が女性だったので、男性にもこう言う機会があっても良いのでは?と思いました。参加したい男性があまりいないかも知れませんが、女性だけの問題では無いと思うので。」

○団体所感

参加者同士でしっかり話し合うことのできるこの座談会は、今後も続けていきます。地方に住んでいる方や男性の参加など、参加者に偏りが出ないように積極的に参加募集していきたいと思います。また、今後取り上げるテーマとして、個人的な話をじっくり聞くクローズドな会を開くなど、より参加者の気持ちにそった座談会の開催も検討していきます。


小1の壁のこと

今となりで小学校1年生の女の子が宿題をやっている。
もうすぐ2年生になるんだなと少し感慨に浸る。

小1の壁はとても高かった。
でも1年経って、わが家の壁の正体が少し見えてきたのでそのことを書こうと思う。

小1の壁といったけど、そもそも舞台の仕事と子育ての両立はいつだって大変だった。
 
子どもが生まれる前も後も、私は照明の仕事をしていて、出産後もなんとか仕事を続けてきた。
我が家では娘が1歳のときから保育園に預け、私も仕事をしていた。
舞台の仕事は「17時にきっちり終わる」というわけにはいかない。
照明の仕事はざっくり言えば、演目に合わせてデザインをする作業と、本番の操作に分かれる。
子どもが生まれてからは本番の操作は人に任せ、私はデザインだけを担当する体制に変えた。
それでも、劇場入りすれば初日が開くまでは22時までは劇場にいなければならない。

娘は1歳で、コロナ禍の真っただ中の2020年8月に保育園へ入園した。
認可の私立保育園で、延長保育を利用すれば最大20時15分までのお迎えが可能。結局その時間まで預けたことはなかったけれど、延長可能というのはこちらの気持ちを楽にしてくれた。 もちろんそれだけでは22時までは働けないけれど、毎日のことではないから、夫とやりくりしたり、友人にお願いしたりしながら、なんとか乗り切ってきた。

今振り返れば、 1歳の娘は、こちらの都合に合わせるしかなかった。

何もわからないまま保育園に通うことになり、毎日を楽しみ、いつしか保育園に通うことは当たり前になった。
保育園に行きたくないと泣くこともあったけれど、あの頃の娘はまだ軽く、抱き上げて連れて行くことができた。
地方公演のときには、娘を保育園ごと休ませて連れて行って問題なかった。
実家の近くで仕事があるときには、娘を祖父母に預けて私は安心して仕事をした。
また、どうしても保育園に行きたくないという日には、親側の都合がつけば「じゃあ今日は休んじゃおっか」と柔軟に対応することも可能だった。

もちろん当時も、保育園に預けながら働くのは大変だったけれど、
保育園は、「親が就労するために子どもを預かってもらう場所」であり、
親の都合を子どもに合わせてもらいながらなんとか乗り越えてきたのだ。

かたや小学校。

小学校への入学と同時に、学童クラブも決まった。
延長利用をすれば19時まで預けられる。
時間こそ保育園より短くなったけれど、基本的に18時までは学童にいてくれる。
入学する前「小1の壁」とよく聞くけれど、具体的にどうなるのかいまいちわかっていなかった。

けれど、小学校に入ってしばらく経つと、なんとなくわかってきた。
保育園は「親が子どもを預ける場所」だった。
小学校は「子どもが通うべき場所」で、親はそのサポートをする。
概念がまったく違うのだ。

保育園の登園時間は親の都合に合わせられた。(7:30〜9:00の間に登園すればOK。この辺りは園による)
小学校は8:00〜8:15の間に登校する。しかも「自分で」行くことが前提だ。
娘の小学校には登校班とかは特になく、必要に応じて親が付き添うスタイル。


私は、しばらくの間、毎日一緒に登校していた。
「一人で行ってみる?」と声をかけても、「まだ無理」「7歳になったら」「2年生になったら」
付き添って学校まで送って時計を見ればもう8時15分。
ぐずったりトラブルがあれば8時半近くになり、そうなれば、劇場の9時入りには間に合わない。

帰宅時間というところでも
保育園時代は、クラスの友達の家庭はみな共働きでお迎えは大体18時15分のギリギリ。
早めに迎えに行く家庭は少なかった。

でも小学校は違う。
学童に行かない子もいるし、学童に行ってる子でも17時にみんなで学童から帰る子も、延長の子もいる。娘の通う学童は17時以降が延長で、延長であればお迎えが必要という決まりになっている。
(17時〜18時が無料の延長、18時〜19時が有料の延長)

仕事が終わってから迎えに行くから、だいたい延長でお迎え。
けれど、本当はお迎え一辺倒ではなくて17時にみんなで帰るという帰り方もさせたいし、延長だとしても1秒でも早く迎えに行ってあげたい。
娘も本当は延長はいやで、みんなと帰りたい。

親の都合で学校を休ませることも難しい。
これにより、18時や19時という時間にお迎えに行けないから現場に同行させる。地方公演に連れていく。私の実家に預かってもらう。という回避技は使えなくなった。

朝、強く言って一人で学校に行かせることも、
帰り、学童に延長で残らせて19時近くにお迎えに行くことも
別にできなくはない。
本当にのっぴきならないことならば学校を休ませることだって不可能ではない。

でもできれば、無理やり何かをさせたくないし、諦めさせたくない。
なにより保育園の頃より、娘は自分の気持ちがはっきりしてきている。
「こうしたい」「こうしてほしい」「これは嫌だ」
気持ちをわかってほしいという想いが強くなってきた。
意固地になられてしまったら、無理に何かをさせるのは難しい。

ちなみに夫はどうしているかといえば、ちゃんと一緒に頑張ってくれている。
でも、「どうしてもお母さんじゃないとダメ」と泣かれることもある。
それはやっぱり、平日の夜は基本的に私が面倒を見ていて、娘と一緒にいる時間が圧倒的に長いからだと思う。

正直、母は仕事にならない。

子育て座談会~俳優・スタッフ一緒に編~(後編)

前編はこちら
中編はこちら

8.ハードルを下げたい、でも難しい

そら 大きな劇場だと、託児ありの公演も増えてきたなとは思うんですけど、そういう劇場でも主催公演に限ってだったりするんですよね。
子連れ観劇に力を入れてる劇場ですごい気になってた舞台があったんですけど、劇場主催公演じゃなかったから託児がなくて、諦めるしかなかったんです。観たかったなぁって今でも思ってる。

ココ 私、すっかり勘違いして、託児があると思って予約したら、主催公演じゃなかったからダメだったっていう祝日月曜の日があって、もう保育園もダメだし託児も無いし、迷った末にシッターさんを呼びました。
時間がどうしようもないときは、シッターさんに頼んで見に行くことがあります。

そら そういうときって、お家でシッターさんに見てもらうんですか?

ココ あ、そうです。お家に呼んで、私が出かける前に来ていただいて、私が帰ってきたらそこで終了。

そら それですごく思うのが、劇場近くの託児とか、劇場近くの遊べるところに連れてってくれるシッターさんがいてくれたらいいのになって。料金的にも少しでも預ける時間を短くしたいなって。

原田 預けたことのあるシッターさんで、そういうこともやりますって言っていただいたことあります。出かけた先で待ち合わせして、預かってもらって、出かけた先で解散みたいなこともできますよって。サービスによっては、そういうマッチングがうまくいけばできるんじゃないかなっていう。

そら あ、マッチング次第なんですね。やっぱりちゃんと探す努力をするべきなんだな。。

原田 プラスいくらかかるけどやるよっていう方が、初めましての方でも多分います。普段頼んでるから、いつもの値段でいいよってその方は言ってくださって、劇場とかでちょっと見てもらうとかもできるのかなってそのときは思いました。

うちは子供1人で、しかもその方にけっこう長く見てもらってたから、うちの娘だったら家の外でも遊ばせられるから大丈夫かもっていうところまで来たから言ってくださったのかもしれないですけど。
でもサービスとしてやっている方もいると思います。ま、そういうの理想的にはね、劇場とかで申し込みやすいといいのかもしれないけど。

そら 嬉しいなって思っちゃいますね。
以前見たそういうサービスの口コミで、これは美容室だったんですけど、その美容室が手配した保育士さんがあまり良い方じゃなかった、というものがあったんです。
託児を頼めたら良いのにって思ってたけど、こういう問題もあるのかって思うと、信頼できる人に預けられるという点では、継続してお願いできるシッターさんの存在は大きいですね。

原田 短時間、公園で預かってくれるとかのサービスもありますよね。

そら 事務所で、子供も一緒のオーディションが何件かあったとき、参加してた人と話してたんです。子連れ世代の俳優のオーディションするときに、会場近くの会議室に事務所でシッターさんを手配してくれたらいいのにねって。

原田 私たちがイベントやるときはそういうことが必要だねっていう話もしてるので、一定数申し込みがあればできると思うんですけど、やっぱり事前予約せずに、直前に行って利用できるっていうのは、なかなか難しいってメンバーでも話し合っていて。
飛び込みでも預けられるのが理想だけど、安全面とか費用面とか考えるとやっぱりハードルが高いなと。
でも、ベビーシッターなどのマッチングサービスなら利用できるような気もするので、そういうのが進むといいなって私も思います。観劇するためのハードルを下げるっていうか。

そら いや、本当下げてくれたらすごく嬉しい。うん。嬉しいという希望だけでなんか恐縮なんですが…。

松本 私が行ってる歯医者は、当日行って子供預かってくれるんですよ。保育師さんがいるときもあるし歯科衛生士さんが見てくれるときもあるんですけど、ちっちゃい託児ルームで、「お願いします」って言えば当日預かってくれるんです。
事前予約が無いのがとても助かっていて。そういう風にフレキシブルに対応できたらいいんですけど、難しいですよね。
なおえさんの団体は、俳優やスタッフが子供連れてきていいんだよの環境ですけど、観劇のお客さんに対するサポートはありますか? 託児とか。

なおえ そうなんです。今それをふと考えていて…やっぱり、劇場によって託児ができる場所があるかとかの問題もあったと思うので、多分やれてないんじゃないかな。

ココ 私が働いてた劇場でなおえさんたちがやったときは、託児やってたと思います。

なおえ あ、そうなんですね。ありがとうございます。
全然中の人が知らない(笑)。うん、できればやりたいけれども、そうなんです。
費用のこととか規模のこととか、いろいろな裏の事情もあると思うので、難しいなって今すごい聞きながら思ってました。

ライト あ、一応今調べたら、直近の公演は託児サービスありました。

なおえ あっ、あった?え、私マジでポンコツなので本当にすいません(笑)。
あったみたいです。よかった。

ライト ってことは、全公演やってるんじゃないですか?(笑)

なおえ すいません。ポンコツすぎて本当にもう全然裏の事情分かってない(笑)。やってました! はい(笑)。

そら 素晴らしい。ありがたい。

ライト でもその、託児を劇団が入れる費用負担っていうのは大きいんですよね。正直。

そら そうですよね。

ライト 本当、だから、託児あって欲しいってすごく思うし、ギリギリまでキャンセルとかできたらいいなってすごく思うけど、劇団の懐事情のことを考えると、ちょっと、もう、難しい…難しいよね…分かる、分かるよって、すごい思っちゃう。

子育て座談会~俳優・スタッフ一緒に編~(中編)

前編はこちら

4.子育てして良かったこと①

松本 次のテーマですが、なおえさんからいただいた、「プライベートでもお仕事でも、子育てしてみて良かったこと・助かったこと・役立ったことなどをみなさんから聞きたい」こちらについて話したいと思います。

確かに、子育てと舞台の話をしてると、難しいなって眉間にシワが寄っちゃうような話題が多くって、もちろんそれを話していくことがすごく大事なことなんですけれども、
それと同じぐらいの熱量で「子育てめっちゃ楽しいよね」みたいな話も是非聞きたいなって、私も思いました。

なおえさんいかがですか? このテーマにした理由についてお話しいただけますか?

なおえ あ、もう今まさにおっしゃっていただいたような感じで、社会人でとか介護でとか大変な方っていっぱいいらっしゃって、
そういう方が演劇とか舞台とか芸術をやる中で大変なお話ってやっぱりいっぱい出てくるんですよね。

で、それを発信するってめちゃくちゃ大事なことだとは思ってるんですけど、たまには、お仕事で実はこれが良かったよとか、こういうことが助かったよとか、そういうお話も共有できればいいなと思ったので、今回ちょっとお聞きしたいなと思って、はい。テーマにしてみました。

松本 なおえさんご自身はどうですか?

なおえ そうですね。毎日がもうぐちゃぐちゃというか、日々がすごいスピードで過ぎていくので、よく分からないままここまで来ちゃったっていう感じはあるんですけど。

でも、これは俳優としてなんですけど、やっぱり俳優やってると、子供を持つ母親の役とかも絶対あるわけですよね。

で、もちろん子供をお持ちでなくても、見事な演技をする方っていっぱいいらっしゃるし、何て言ったらいいんでしょう、いないからできないってことはもう本当に、決して無いと思ってるんですけど、
やっぱり、自分の命を賭けてもいい存在っていうのは本当に初めてだったので、そういう経験ができたことと、この子を危ない目に合わせるやつは呪い殺してやるみたいな(笑)

そういう気持ちとか、もうとにかく子供がいなかったら多分味わえなかったですね、自分より大事なもの、みたいなのを。
それを経験できたのは、本当俳優としても良かったなって思っています。

あと、いろんなことが大らかになった気はします。
けっこう私、神経質で、あれダメ、これダメ、ここ汚さないで、ここ綺麗にして、みたいな人だったんですけど、ちょっとこぼしても、「あ、いいよ~、拭くから全然大丈夫~」みたいな。
その大らかさはわりと芝居にもつながっているので、そういう面では良かったかなっていうのが自分の話ですかね。

他の方はどうなのかなっていうのは、すごく気になるところです。

松本 中村さん、これ良かったなっていうことありますか?

中村 私もなおえさんがおっしゃるように毎日がいっぱいいっぱいな状態なので…でもそうですね。うーん。

私は、子供と一緒に過ごしたりすることで、日々の食事にすごい意識がいくようになって。当たり前なんですけど、やっぱり衣食住って、生活のベースだなと。
自分自身、どちらかというと食をかなり雑にしてきたというか、仕事中心ですぐ食事を抜いちゃったり、朝ごはん食べないとかそういう生活をしてきまして。

子供との生活の中で仕事を続けていこうと思った中で、改めて、身体を作るための食事ってとても大事だなと実感して、食について勉強したいと思うようになりましたね。

あと稽古場になるべくお弁当とか作っていくようになって、それは節約の面もありますけど、子供との生活を通してそうしたことを大事にしていきたいなと。

現場がある忙しいときとかにもなるべく、おにぎりとちょっとおかずぐらい入れていこうとか、そうした部分に視点が開いていったんで、それが今すごく楽しいです。

明日あれ食べたいなとか、子供とこれ食べたいなとか、夕食に余ったおかずを明日の稽古場に持っていこうとか、それを考えるのが、今めちゃめちゃ楽しいですね。

松本 分かります。1人の生活で舞台やってると、もう自分の生活なんて無いようなもので…本当に軽くコンビニで済ませて、生きてればいいやみたいなぐらいの感覚になっちゃいますもんね。

子供がいると、やっぱりその子のために時間をかけるし、手間もかけるし、そうすると自然と自分もそうなるし、いいですもんね。すごい分かります。

中村 子供が残した夕食を、やっぱり食べなかったか〜と思いながら次の日の現場のお弁当に入れて食べるのも、それもまた味わい深いといいますか。

5.子育てして良かったこと②

松本 他の皆さんはどうですか? こんなエピソードあるよ~みたいな。

そら うちの子は今4歳ともうすぐ2歳で、見ていてつくづく面白いなと思うのが身体感覚を獲得していく過程だったり、言葉を獲得していく過程みたいなところですね。

文字がまだ読めない子供たちの認知している世界がすごい興味深くて、それをしみじみと楽しんでいる感じはあります。

何でしょうね。2人を見ていると、「私の世界って文字を基本に構成されてるんだな」って感じるんです。だけどまだ読めない子供たちからすると、例えば歌の歌詞なんかも、聞いていて聞こえたように歌おうとするけど、聞こえ方も文字を介していないから自由だし、口の筋肉がまだ上手には使えないから思ったようには発語できない。だから全然違うこと歌ってたりするんですよね。

あと、寝返りを打つときってこういう風に体を使っていくんだ!とかっていうことが、俳優訓練のやってきたこととつながって、「あ、こういうことだったんだ!」みたいなことがたくさんあって、面白かったです。

松本 なるほど…。

そら びっくりするけど納得しちゃうことも色々あって。

「おかえり」「ただいま」って言うじゃないですか。もうすぐ2歳になる息子は今、その二つの区別がついてないんですね。自分が帰ってきて家の中に入ったときに「おかえり」って言ってたりするんです。
あ、そっか、「おかえり」という言葉を、「人が家に帰ってきたときに使う言葉」と認識してるんだな、自分が帰ってきたときは「ただいま」、誰かが帰ってきたときは「おかえり」なんだけど、その状況の違いって、そりゃそうだよね、分かんなかったよね、みたいな。

あと、私がナレーションもやるからっていうのもあると思うんですけど、私は言葉を発語するとき、「文字があって、その文字の滑舌の正解みたいなものに合わせていく」という感覚がすごく強かったんです。
でも子どもが喃語から言葉を習得していく過程に親として触れていたら、考えてみたら当たり前なんですけど、文字に合わせて口の筋肉を動かしていくんじゃないんだなってことがすごく新鮮で。

一生懸命何か言ってて、多分明確に何か指してることは分かるんだけど、何を言ってるんだろうなって思ってたら、「あんた」って音がこの子にとっては「トマト」だったんだとか。

「ああ、そうやって言ってたのか!」ってずっと聞いててやっと分かったときがとても面白くて、そういうことが表現者としてインスピレーションだったり、役へのアプローチだったり、何か根源的なことに繋がるんじゃないかなって思ったりしました。

松本 すごい分かります。私も今下の子が2歳で言葉を発し始めているんですけれど、なんか本当、親でも何言ってるのか分かんない。
親なら分かるのかなっていうイメージだったんですけど、それも積み重ねですよね。

そら いや、本当に、むしろ保育士さんの方が分かってる。昨日の話で、うちの下の息子はいたるって名前なんですけど、いたるくん、いたくんって呼ばれてたんです。
息子がお友達とおもちゃの取り扱いしながら「たっくの!たっくの!」って言ってて、保育士さんが「あ、いたるくんの!って言ってるのね」って。私は保育士さんに言われてやっと「自分のことたっくって言ってたのか!」って分かるっていう。

いたる…いたくん…たっくん、あ、なるほどなるほど、「いたる」の「い」は確かに発音しづらいよね、みたいな感じで、そういうのがすごい面白い。

松本 かわいいですね~。だんだんだんだん分かってきますよね。

そら はい~。

松本 上の子が4歳さんだったら、それこそ3歳から4歳ってすごい変わるなって思ってて。

そら あ、そうですね。確かにそうでした。

松本 誤解を恐れずに言うと、今までは、子猫とか子犬をかわいがるように、かわいいかわいいだったのが、だんだん1人の人間として確立してきて、なんだろう、かわいがるだけじゃないというか。年齢が上がると接し方も変わってきますよね。

そら はい。けっこう親の言ってることやってることも真似されて、「ああ、親の背中を見て育つってこういうことか…」みたいなのもすごくありました。
うちの子、偏食がちょっとひどいんですけど、興味を示したから「じゃあ食べる?」って聞いたら「いらない」って言われて「いらないんかーい!」ツッコむ、みたいなことしてたら、最近何かのときに、上の子が「◯◯なんかーい!」って辿々しい口調でツッコむようになってきちゃって「そういうとこ覚えられちゃうんだ…」とか思いました。

松本 かわいいですね。

そら かわいいです(笑)。とてもかわいいです。でも喋る前までって、本当、犬とか猫を愛でている感じなんですよね。それがすごく幸せな時間だったんですけど、喋るようになってきて「あぁこうやって人になっていくんだなぁ」って思うようになりました。

子育て座談会~俳優・スタッフ一緒に編~(前編)

1.子供のいる人生と演劇の仕事

松本 今回はココさんから、「子供を育てながらの演劇人としてのキャリアの積み方」というテーマを事前に頂いていました。こちらについて、ココさん、お話しいただけますか?

ココ はい。私は、妊娠・出産を機に演劇活動を休むってことをしなかったんです。
妊娠中も2本公演打って、とにかくやらなきゃ、みたいな気持ちで出産予定日の前日まで脚本書いてたレベルでやってて。

出産後も、生まれて半年くらいで、元々決まってた公演があったので、保活とかしながら、一昨年なんとかやり終えたんです。

でも、それがとっても大変で、正直、自分の劇団で公演を打つって、子供を育てながらは難しいな…みたいな気持ちになって、子供を持ってる状態でどういう風にこの後の活動を考えていけばいいのか、どのくらいの規模感で自分が活動していきたいのかが、分からなくなってしまって、焦っています。

ただ、個人的に良い変化だなと思うこともあって。子供ができたことで、人生って長いんだってことを改めて、当たり前のことなんですけど、感じまして。
子供がいないときはもうガムシャラにやってたんで、今何とかしないと!今頑張らないと!どうにもならない!って気持ちだったのが、子供ができて成長するにしたがって、自分もその分年を重ねるじゃないですか。当たり前ですけど。

それが心地よくもあって。自分の人生がもう少し落ち着いてからまた活動を始めるっていうのも全然アリだなとも思ってるんですけど、そのへんが自分の中でうまく整理がついていないので、
皆さんが妊娠出産したときに、そのあたりをどうやって考えたのかなっていうのをぜひお聞きしたいなと思って、このテーマを出させていただきました。

松本 ありがとうございます。どうですかね、皆さん。
私は今は全く現場に立たなくなってしまったので…。ただ私の話もさせていただくと、私、1人目のときは、それこそ産む前までは、もう両立する気満々でいたんですね。むしろちょっと焦るっていうか。
子供がいても舞台の仕事を続けていきたい、途切れずにやりたい、だから、どんどん仕事を取ってかなきゃって思ってて。

だけど実際生まれてみたら、やっぱりうまくいかなくって。突然病気になるし、昼寝は必須なのねとか、見えてなかったことが出てきて、厳しいなっていうことも分かってきて…そんな中でも演出助手の仕事は続けてたんですけれども、だんだん、現場やらないで私が家にいた方が家族みんな幸せだし、私もその方が落ち着くなって思うようになったんです。

あと2人目が欲しいっていう気持ちもずっとあって、現場に対してだんだん消極的になっちゃって、実際2人目が生まれてみたら、現場に対する気持ちがフェイドアウトしていったんですね。

あとはプラットフォームデザインlabを通して、今までとは違う形で演劇に関わってるっていうところで、今すごく満足していて、だから、これはこれで、私の形がこうなったなっていう感じなんですよね。ここにいる皆さんは、続けてらっしゃる方の方が多いので、私もぜひお話お聞きしたいなと思うんですけれども、どうでしょうか。

みどり 私は、いた会社ができて3年目とか4年目とかのまだちょっと新しい、小規模な会社だったんですけど、どんな仕事をしていこうかっていうのを会社として模索している状態で、私は舞台音響の仕事をやりたかったんですけど、会社の他の業務が多くなって、やりたい仕事があまりできなくなってしまったんですね。
それで、結婚とか出産とかのタイミングがかぶったのもあって、会社を辞めたんですね。

で、出産して、もちろん現場に出るっていうのは難しかったんですけど、それまでお声がけしてくれてた劇団の方だとか、主催の方で、どうしてもみどりちゃんにやってほしいなとか、別の人に頼んでみたけどやっぱりみどりちゃんがいいなって言ってくださる方が何名かいらっしゃって、
それで、ちょっと現場には出れないですけど、お手伝いとかプランはやるので、オペレーションは別の方で…っていう今の形がだんだんできていったのかなとは思っています。

今は赤ちゃんがいるので、ちょっと今後のことは分からないですけど、がっつり現場に戻るかって言ったら、ちょっと難しいかなとは思ってて……。
子供たちすごい可愛いので、一緒にいたいなって私が思ってて、夫も私と同じ舞台音響の仕事をやってるっていうのもあるので、
家族のスケジュールとか、そういう余裕が出てくる…ま、いつ出てくるのか分かんないんですけど…そういうときに、私もちょっと音響のことできたらなぁ、とは。

下の子が幼稚園とか保育園とか入って、昼間時間が取れたら、ちょっと稽古見に行くとか。もうちょっと幅広くというか、演劇のお仕事を、観劇するとかももちろんそうなんですけど、そういうのができたらいいなって思ってはいます。はい。

松本 ありがとうございます。うんうんうん。そうですね。

2.続けていく原動力 ― キャリアという言葉が表すもの

松本 原田さんは、今もバリバリ子育てと大学・美術のお仕事とやってらっしゃいますけど、どうですか? キャリアの積み方っていうところで。

原田 私も、出産前はこれだけやってたのにな…っていうことを、やっぱり毎現場すごく考えてしまって。
100%、舞台のことだけをやってる人間だったので、その頃に比べると、例えば夜遅くまで稽古場にいるのが難しかったりとか、土日に打ち合わせを入れたいって言われたら調整しなきゃいけないみたいなこと、毎回そこにノッキングがあるっていうことに、未だに慣れてなくて。

もう6年も子供がいるんですけど(笑)。でも、それを上回るぐらい、子供を育てているということ、家族がいるということによって子供がこれから育っていく社会がどういう風になっていったらいいかなっていう視点をもらえたことは、本当に子供を持って得られた最高のことだと思っていて。

そこを軸に、自分のキャリアだけじゃなくて、何か、これからがより良くなっていくように活動していけたらいいなって考えるようになりました。

ただ、大きいことで言うとそうなんだけど、やっぱり小さいこと…例えば、明日締め切りの仕事の時間をどこで捻出するかとか、来週の発注に間に合うようにスケジュールを全部パズルしても、子供の予期せぬ事態……今日も、朝から娘が耳が痛いって言っていて、あ、明日病院連れてかなきゃいけないのかってなったら、ちょっと朝入ってるこれを午後にして、もしくは夫が朝予定してたこれを他のところに入れて、もう家族でスケジュールをパズル、テトリスしながら、本当に日々、未だに試行錯誤してて……
ま、それも何ですかね。なんか、ままならないけど、ままならない中で最大限働くってことで、かえって何か生み出す力をもらえているように思います。

打ち合わせをしてるときに、舞台のことだけやってたら絶対に発想できなかったことがあったりすると、新しい視点が着実に積み上がってるな、自分の中にそういう財産があるんだ、と実感することがあります。

それは全ての時間を制作に傾けることと、同じぐらい価値があるのかなっていうふうに考えが変わったことが、今の私にとっては、続けていける原動力になってるかなって思います。

今までだったら、オファーがあった仕事はひとつも断っちゃいけないなと思ってたけど、時には断るという選択肢も考えたりとかするようになりました。
そういうジレンマの中で、子供を育てながら仕事を続けてる先輩方も苦労したのかなって、その人たちの顔も思い出しながら、あと後輩のことも思いながらこう、続けていけているっていう感じですかね。

松本 ありがとうございます。なおえさんはいかがですか?

産後7ヶ月 現場に戻った演出家の記録

こんにちは。早坂彩です。演劇の演出家をしています。

トレモロという演劇団体の代表をしています。

2026年3月現在、まもなくトレモロ本公演『コリオレーナス』の本番を迎えます。

昨年6月に出産し、現在9ヶ月になる男の子を育てながらの創作の日々を送ってきました。

9ヶ月というと、我が子は色々なところにつかまって立ってみたり、ハイハイで動いてみたり、どうやら本人的には言いたいことがあるようで、一生懸命喃語をしゃべったりして、意思表示をしています。

本日は、公演の企画制作段階から本番直前まで、どんな日々を過ごしてきたか、書いていけたらと思います。

私の場合、子どもが生まれることがわかったのと、復帰公演となる本公演の公募(ロームシアター京都×京都芸術センター U35創造支援プログラム‟KIPPU”)に選出されたのがほぼ同時期でした。そのため、当公演の本番に照準を合わせて比較的長い時間(約1年半)をかけて、上演に向けて準備してきました。

私は3年ほど前に生活拠点を関西に移し、比較的規模の大きい公演へは長らく拠点としていた東京からも俳優やスタッフを招き、関西の俳優と東京の俳優の協働で創作を行う形態を採っています。ちなみに今回の公演は出演者13名、一部出演者は滞在制作ありの劇団としては最大規模の上演で、子育て関係なく、綿密な計画が必要な興行でした。

上演に向けた準備として、子どもに関しては、稽古時間中に子どものお世話をしてもらう環境作りに努めました。創作に関しては、オーディションを出産前の早い時期に開催したり、オンラインでのプレ稽古を実施したり、余裕を持った進行を心がけました。

産後は初めての子どもとの生活の中で、自分の創作脳をいかに維持するかということも考えていました。今思うとオンラインでの活動から、少しずつ演劇活動に復帰できたのは良かったかもしれません。6年続けているZoomで戯曲研究会(オンラインで開催するシェイクスピア戯曲の本読み会)を早期に再開したほか、次回上演に関連するオンライン稽古会を実施して、俳優陣とコミュニケーションをとると共に自分の創作脳のコンディションを確かめていきました。

子どもが幼く自宅に引きこもらざるをえない日々に、オンラインで戯曲を読み、参加してくださった皆さんと時間を共にできたことは大変励みになりました。

1月。産後7ヶ月頃、稽古が始まりました。

特に関西の演劇界では、夜稽古が中心だと聞きます。私の周囲には、子育てをしている出演者やスタッフもそれなりにいたため、以前から、日中の稽古、夜稽古を組み合わせて実施していました。

今回の公演の稽古時間は、11:00〜18:00もしくは13:00〜20:00を中心としました。稽古後にスタッフと打ち合わせが入ること、稽古前後の移動時間、産後7ヶ月でもまだまだ回復しない体力も考えると妥当な設定だったかと思います。

往復の移動時間が3時間かかったため、稽古開始当初は体力的に心配なところもありましたが、思い切って指定席車両をとって電車内で集中して作業したり、移動中にしっかり休憩したり、結果的に良い時間の使い方を見つけることができました。

子どものお世話のためには、やはり夜にはできるだけ家に帰っていられて良かったです。帰宅後には、子どもに夜の離乳食を食べてもらって、翌日の稽古予定を考える、というルーティーンが整ってきました。

幸いにして、今公演の稽古〜本番期間は、夫・息子・子どもの世話をしてくださった皆様のお力で週5〜6、稽古場に通い、集中することができました。

しかし、毎回こういうわけにはいかないと思っています。今回はこの公演に合わせて数ヶ月前から準備してきたこと、自分の団体で、ある程度自分が計画を引ける立場にあったことから、なんとか叶ったと言えます。

最近、「生きている間に、あといくつ演劇を作れるのだろうか」と考えることがあります。一つひとつの作品をより大事に、一緒に作りたい人たちと、作品を作れる環境作りをしていきたいと思っています。

少なくとも、特に団体運営において、とにかく自分が手を動かして、物事を前に進めている現在の体制は脱さなくてはいけないとも思っています。

現在、その体制を完全には脱しきれていないなかで、出演者・スタッフの大きな力を借りながら、今公演の幕を開けるべく準備が進められていること、チームの多くの方に感謝して、今日も劇場に行きたいと思います。

子どもの成長というのは、本当に早くて、家に帰ってにこにこする姿や、Web会議で話す人に興味津々な姿や、通し稽古の動画内で大きな声を出す人を見て「なんだろう」となっている姿はかわいいものです。おかげで根を詰めずに創作期間を過ごせたところもありました。

母親若葉マークの私ですので、今後もこえのわさんの記事を通じて様々なこえを聞いて、自分なりの歩み方を考えていきたいと思います。

【終了しました】「こえのわ」2025年活動オンライン報告会!

日時

2026年3月21日(土)10:30~12:00

会場

オンライン(zoom開催)

内容

2025年オープンメディアサイト「こえのわ」のオープンにあたり、プラットフォームデザインlabメンバーによるオンライン報告会。運営メンバー側のサイト設立までのプロセスや、記事作成や座談会参加してくれた方々、サイト利用者の方々の意見やフィードバックを受けながら今後の企画やサイトデザインを考える。

  

<第一部(約30分)>
・ホームページ制作のプロセス紹介
・担当者による特集記事/コラムの紹介
・子育て座談会の開催報告
・アンケートで寄せられた「こえ」のご紹介

<第二部(約60分)>
テーマ①:仕事に伴う託児や、劇場・公演での託児サービスについて
テーマ②:親子・子どもが参加するワークショップやイベントについて

※第二部は聴講のみの参加でも構いません。

対象

子育て×舞台芸術及び文化芸術について考えたい方、メディアサイト「こえのわ」活動に興味のある方。
※画面オフ、聴講のみの参加も可能です。

参加人数

20名程度を予定。

参加費

無料

参加申込

下記応募フォームより必要事項を記入の上お申し込みください。(〆切3月20日18時)https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSeWPvbWrOSo37U9N0RIsiefFdYQPc2hyWBeSHHx_twRCmPysg/viewform

【終了しました】ベイビーシアターワークショップ「影絵ワンダーランド」

0歳からのお子さまと家族で楽しめる!
ベイビーシアター(乳幼児のための舞台芸術)と演劇あそびのワークショップです。
泣いたり、動いたり、さわったり――自由に遊んで大丈夫!
演劇を通して、親子で「はじめての舞台体験」を一緒に楽しみましょう。

開催日程


2026年4月6日(月)
①10:30~/②14:30~
※受付、開場は各回20分前

会場

サンハート(横浜市旭区民文化センター) ホール

対象

0〜3歳のお子さまとご家族
※ごきょうだいの参加も大歓迎!

参加費


親子:1,500円(こども追加:200円/おとな追加:500円)

予約フォーム


https://forms.gle/JFzpiQ87eYvWA4Lm9

ご案内


・ベビースペース(授乳スペース、ミルク用のお湯、オムツ替えスペースなど)ご用意しています。

ワークショップ詳細URL


https://tmblr.co/Z1a-Fjiyx4P58u01

主催:くロひげ
協力:横浜市旭区民文化センター サンハート

「はたらく劇場探検隊」を通して考えたことー劇場は子どもにも、働く親にも、開かれる場所になれるかー

舞台裏から劇場の魅力を感じてほしい

舞台裏の面白さから劇場に関心を持ってもらおうと、小学生向けの職業体験ワークショップを今年度からスタートした。企画運営は子育て当事者や教育に関心のある舞台人による異職種混合チーム。「こっちから観る舞台は最高だから裏に来てみて!」「親たちの仕事(パン屋さんやYoutuberみたいな認知度は決してない)も知ってほしい!」といった個々のささやかで切実な願いと共に一年走り抜けた。

「はたらく劇場探検隊」in 世田谷パブリックシアター、撮影:加藤和也

個別の現場での発見も反省も多々あり、それを一つ一つお伝えしたい気持ちもあるが、それは別の場にして、今日は、回を重ねるうちに徐々にくっきりと浮かび上がってきた「大切にしたいこと」を中心にお話ししたいと思う。

働く人と考える・子どもたちと考える

ひとまず通年実施したプログラムの一つは、子どものためのバックステージ探検や、照明・音響・舞台機構のオペ卓体験である。これは、劇場機構の多彩な引き出しを熟知した技術スタッフさんや、内部事情を把握している公演中のカンパニーさんのお力があってこそ実現した。

映像さんに出会う「はたらく劇場探検隊」in 吉祥寺シアター 撮影:加藤和也

なのでまずは、技術スタッフの皆様に、改めてこの場を借りて御礼をお伝えしたい。この企画は、劇場に働く人と共に作るプロジェクトなのだということを再確認した。

そして次に感謝したいのは子どもだ。当チームスタッフの子どもたちがリハーサルに来ていた時には、実際の子どもたちの反応を見ながら運営や声がけのシミュレーションができたのがよかった。これは、元はと言えば、休日現場で親が子どもを仕事に連れてこざるを得なかったから起きたことではあった。が、親であり当事業ディレクターの佐藤恵氏(職業:舞台監督)は、日常的に「育児」と「現場」を波乗りサバイブしているが故に、こうした相乗効果を織り込み済みでスケジュールを組んだのではないかと察する。

照明スタッフや子どもたちを交えた打ち合わせ・リハーサル風景(「はたらく劇場探検隊」in 世田谷パブリックシアター、撮影:金森香)

振り返ると、これはとても大事なプロセスだった。子どものためのプログラムは子どもと考えるべき、という前提がありつつ、「ときどき起きるこんなこと(子連れ勤務)がプラスにはたらく現場」は望ましいものに思えた。そしてそれを生み出し、現場の一つの当たり前にしていくのは当事者親子本人たちの逞しい姿なんだな、と改めてその光景を思い出す。