産後7ヶ月 現場に戻った演出家の記録
演出家・トレモロ代表/早坂彩
コラム

産後7ヶ月 現場に戻った演出家の記録

演出家・トレモロ代表/早坂彩

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こんにちは。早坂彩です。演劇の演出家をしています。

トレモロという演劇団体の代表をしています。

2026年3月現在、まもなくトレモロ本公演『コリオレーナス』の本番を迎えます。

昨年6月に出産し、現在9ヶ月になる男の子を育てながらの創作の日々を送ってきました。

9ヶ月というと、我が子は色々なところにつかまって立ってみたり、ハイハイで動いてみたり、どうやら本人的には言いたいことがあるようで、一生懸命喃語をしゃべったりして、意思表示をしています。

本日は、公演の企画制作段階から本番直前まで、どんな日々を過ごしてきたか、書いていけたらと思います。

私の場合、子どもが生まれることがわかったのと、復帰公演となる本公演の公募(ロームシアター京都×京都芸術センター U35創造支援プログラム‟KIPPU”)に選出されたのがほぼ同時期でした。そのため、当公演の本番に照準を合わせて比較的長い時間(約1年半)をかけて、上演に向けて準備してきました。

私は3年ほど前に生活拠点を関西に移し、比較的規模の大きい公演へは長らく拠点としていた東京からも俳優やスタッフを招き、関西の俳優と東京の俳優の協働で創作を行う形態を採っています。ちなみに今回の公演は出演者13名、一部出演者は滞在制作ありの劇団としては最大規模の上演で、子育て関係なく、綿密な計画が必要な興行でした。

上演に向けた準備として、子どもに関しては、稽古時間中に子どものお世話をしてもらう環境作りに努めました。創作に関しては、オーディションを出産前の早い時期に開催したり、オンラインでのプレ稽古を実施したり、余裕を持った進行を心がけました。

産後は初めての子どもとの生活の中で、自分の創作脳をいかに維持するかということも考えていました。今思うとオンラインでの活動から、少しずつ演劇活動に復帰できたのは良かったかもしれません。6年続けているZoomで戯曲研究会(オンラインで開催するシェイクスピア戯曲の本読み会)を早期に再開したほか、次回上演に関連するオンライン稽古会を実施して、俳優陣とコミュニケーションをとると共に自分の創作脳のコンディションを確かめていきました。

子どもが幼く自宅に引きこもらざるをえない日々に、オンラインで戯曲を読み、参加してくださった皆さんと時間を共にできたことは大変励みになりました。

1月。産後7ヶ月頃、稽古が始まりました。

特に関西の演劇界では、夜稽古が中心だと聞きます。私の周囲には、子育てをしている出演者やスタッフもそれなりにいたため、以前から、日中の稽古、夜稽古を組み合わせて実施していました。

今回の公演の稽古時間は、11:00〜18:00もしくは13:00〜20:00を中心としました。稽古後にスタッフと打ち合わせが入ること、稽古前後の移動時間、産後7ヶ月でもまだまだ回復しない体力も考えると妥当な設定だったかと思います。

往復の移動時間が3時間かかったため、稽古開始当初は体力的に心配なところもありましたが、思い切って指定席車両をとって電車内で集中して作業したり、移動中にしっかり休憩したり、結果的に良い時間の使い方を見つけることができました。

子どものお世話のためには、やはり夜にはできるだけ家に帰っていられて良かったです。帰宅後には、子どもに夜の離乳食を食べてもらって、翌日の稽古予定を考える、というルーティーンが整ってきました。

幸いにして、今公演の稽古〜本番期間は、夫・息子・子どもの世話をしてくださった皆様のお力で週5〜6、稽古場に通い、集中することができました。

しかし、毎回こういうわけにはいかないと思っています。今回はこの公演に合わせて数ヶ月前から準備してきたこと、自分の団体で、ある程度自分が計画を引ける立場にあったことから、なんとか叶ったと言えます。

最近、「生きている間に、あといくつ演劇を作れるのだろうか」と考えることがあります。一つひとつの作品をより大事に、一緒に作りたい人たちと、作品を作れる環境作りをしていきたいと思っています。

少なくとも、特に団体運営において、とにかく自分が手を動かして、物事を前に進めている現在の体制は脱さなくてはいけないとも思っています。

現在、その体制を完全には脱しきれていないなかで、出演者・スタッフの大きな力を借りながら、今公演の幕を開けるべく準備が進められていること、チームの多くの方に感謝して、今日も劇場に行きたいと思います。

子どもの成長というのは、本当に早くて、家に帰ってにこにこする姿や、Web会議で話す人に興味津々な姿や、通し稽古の動画内で大きな声を出す人を見て「なんだろう」となっている姿はかわいいものです。おかげで根を詰めずに創作期間を過ごせたところもありました。

母親若葉マークの私ですので、今後もこえのわさんの記事を通じて様々なこえを聞いて、自分なりの歩み方を考えていきたいと思います。

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公演情報

ロームシアター京都×京都芸術センター U35 創造支援プログラム “KIPPU”トレモロ 第5回本公演『コリオレーナス』

 

2026年3月13日(金)~ 3月15日(日)

ロームシアター京都 ノースホール

作:W・シェイクスピア 翻訳:小田島雄志 演出:早坂彩

ご予約:http://ticket.corich.jp/apply/412484/

詳細:http://ayahayasaka.amebaownd.com

 

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京都発、シェイクスピア『コリオレーナス』上演にご支援ください!

https://camp-fire.jp/projects/931567/