現場からの声 ―5日間のWSを終えて、“カイハツ”されたもの-
パショナリーアパショナーリア 町田マリー×高野ゆらこインタビュー
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現場からの声 ―5日間のWSを終えて、“カイハツ”されたもの-

パショナリーアパショナーリア 町田マリー×高野ゆらこインタビュー

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―演劇の創作としても、ユニットの在り方としても「新しい表現」に出会えたことが伝わるお話です。私が見学を通じて実感したのは、やはり1日2日ではできない取り組みであったこと。5日間同じ場所で同じ人とやることで試せたことも多くあったのではないかと感じました

町田 「カイハツ」の方との最初の打ち合わせの時に「何をやってもいいんですよ」「誰を呼んでもいいし、この5日間をどんな風に使っても大丈夫です」って言っていただいて、こんなに自由なプロジェクトなんだっていうことにまず驚きました。通常のWSに音楽家の方がいることはあまりないけど、私たちは「稽古場に音楽があったら子どもも楽しいんじゃないか」、「創作としてもいいものに辿り着けるんじゃないか」という思いがあったので、前半と後半でそれぞれ青木慶則さんと絢屋順矢さんにお願いをして、生演奏を付けてもらいました。それは「カイハツ」という機会、KAATのアトリエという場所だからこそ叶ったことなんですよね。私たちだけやろうとしたら、まず稽古場はどこにするっていうところからのスタートだし、予算上やりたくてもできないことも沢山あるので…。

高野 創作の最短ルートを目指すのではなく、「あえて遠くからやる」ということも「カイハツ」だからこそできたことだと思います。それと、町田さんが書くオリジナル作品を上演する場合、彼女が書いて演出をして出るわけなんですけど、作品への思いが強いがゆえにどうしても球を持ちすぎてしまうというか、もちろんそれで成立している世界観もあるのですが、カンパニーとしてはそうじゃない案も持っておきたいなって思っていたこともあって…。だから、「全部自分で考えて自分で進めなければ」というところから一旦離れて、私も含めて参加者の一人のような気持ちで創作に取り組むことはパショパショにとっても必要な時間だったと思います。

町田 「前日のゲームやワークをやってなかったら、今日のこの表現はできていないな」っていう瞬間がすごく沢山ありました。その時はわけがわからないまま、とにかく全力で赤ちゃんになってみたりしているのですが、次の段階でその時間がしっかり活かせるというか、演じる自信や楽しさにつながっているんですよね。そういうことに時間を費やせたことがすごくよかった。いつもはつい「早く作品を作らなきゃ」ってなってしまうので。

高野 たしかに、「赤ちゃんになること」に6時間はなかなか費やせないもんね(笑)。普段の稽古ではできない時間の使い方や創作との向き合い方ができたし、「カイハツ」で取り組んだことはきっと今後の作品にも何かしらの形で引き継がれると思いました。

―実際に参加者の方と5日間を過ごして感じたことは?

町田 WSを通じて、参加者や「カイハツ」プロジェクトのみなさんもとてもたくさんの感想を語って下さったんですよね。パショパショがやりたいことが1つの形としてあって、それはまだまだ未熟な形ではあるのですが、それでもこうして受け取ってもらえることができたっていうことがすごく嬉しかったです。みなさんからフィードバックをいただいたことによって、より一層この5日間を今後の創作に活かして一つの形にしていきたい思いが強くなりました。


高野 参加者の方が「子どもを生んでから演劇の現場から体も心も離れてしまっていたけど、WSに参加したことでこれだって思えた」って言って下さったのが何より嬉しかったです。パショパショは「家庭と演劇の両立」を掲げて活動しているし、演劇がやりたいと思う限りは続けられたらいいって思っているんですよね。「子どもを産んでからも演劇をやれたらいいな」っていう気持ちは大事にしていきたいし、そのためにやれることも絶対にあるはず。「俳優であること」は出産や育児のために失うものじゃないと思うんですよね。むしろ、子どもを連れてくるなり、子どもがいることによって自分の武器が1つ増えたって思って続けてほしい。私自身は子どもを産んでいないから簡単には言っちゃいけないのかもしれないけど、お母さんやお父さんの俳優にはやっぱりそう思ってほしいと思うんです。だからそういう場所を今後も作っていきたいです。

町田 「ここはそういう場所だ」っていう安心感を持って参加して下さっていることも嬉しかったです。お子さんを保育園に預けていらっしゃった方もそういう風に思って、「連れてきたらよかった」と言って下さったり…。WSの途中でお迎えの時間が心配になったり、授乳したいなと思ったり、そういう時ってちょっと言いづらかったりすると思うんですけど、ここではその全部を当然にしたいと思っていたんです。そうやって席を立つ、立たざるを得ない時の孤独感もすごくわかるから…。だから進行も含めて、その人の番が来たらみんなで赤ちゃんを見ながら回すとか、工夫をしていけたらと思っていました。

高野 育児に限らず、稽古場や創作の現場がものを言いやすい場であることって本当に大事なことだと思います。出産だけじゃなく言い辛い体の問題を抱えている人もいるだろうし、6時に帰りたい理由は決してお迎えだけではないかもしれない。家庭を大事にしたいのは育児をしている人だけじゃないですよ、私はできれば夕方には家に帰ってゆっくり夜ご飯を家で食べたいです(笑)。だから自分の不安や状況が言いやすい状態、そういうのをまずはテーブルに乗っけられるような状態でいたいと思ったし、パショパショはそういう団体でありたい。改めてそう思いました。

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