子どもと演劇作るのって最高!最高!最高!最高!
瀧口さくら・宝宝/企画制作
私が声を大にして言いたいことは、タイトルにある通りです。大変だったことや考えたことは山ほどありますが、それは誰かが書くでしょう。私はとにかく、楽しかったからみんなも「子育てと舞台芸術」に取り組もう!ということを書きたいと思います。
宝宝という演劇ユニットの企画制作・瀧口さくらです。先日、宝宝2かいめ『みどりの栞、挟んでおく』という、「育児との両立について、当事者でない立場から考える」を軸とした公演を上演しました。その公演において私は主に、週に一度は稽古場・劇場に俳優の大島萌(めぐみ)さんの双子のお子さんを連れてきてもらうためのプランを練り、そしてその子たちと一緒にいる担当でした。
最初の、そして最大のミッションは、双子と仲良くなること。なぜなら、双子にとって「親が稽古している時間」を「親が取られる時間」ではなく、「楽しい時間」にしなくてはならないからです。ただでさえ大人のエゴに巻き込んでしまっていることになるので、せめて私たちに会うことが楽しみになってくれたら、と願っていました。ただ、私はそれまで子どもと長時間過ごしたことがなく…。はたして好きになってくれるだろうか、と心配しながら、2024年9月末(もう一年前!)、顔合わせとして宝宝のメンバーで大島家にお邪魔しました。会ってみると双子がとっても人懐っこく、すぐに「さくらさん○○して~~」と一緒に遊んでくれて。ちょ~嬉しかった!し、とっても助かってしまいました。
いざ稽古場に来た時には、まずみんなで一緒にシアターゲームをしました。思ってた100倍できてて(ほんとに)、大人はみんなびっくり。それから、台本稽古が始まるタイミングで公園に行ったり、建物内の別部屋で遊んだり。そんな日々でした。お家で萌さんが双子に「みんなに会いに行くよ!」と言うと、ルンルンで出かける支度をしてくれていたとか。劇場入りしてからは、作ったご飯を食べさせたり、お昼寝をさせたり。長時間、初めての場所で萌さんと離れていたけど、ほんとにおりこうさん&元気ありあまるマンでした。どうか、二人にとっていい思い出になっていますように。
大人たちにとっても、双子に会えることはプライスレスな経験でした。稽古場にも劇場にも、日によって宝宝のお友達の大人がかわるがわる手伝いに来てくれたのですが、みんな双子にメロメロに。普段あまり表情が変わらない人やきちっとした言葉遣いで話す人も、双子に「○○さん!」と名前を呼ばれると、もれなく目じりが下がりまくり。なんていい顔なんだ…と思いました。
私は、この公演のおかげで、子どもに接することに臆さなくなりました。手をつないで歩く、電車に乗る、トイレに連れて行く。私でも、お手伝いできることがたくさん増えました。10年後、20年後の社会を良くしたいとより強く思うようになりました。1年前の私は、ここまでできるとは想像もしなかった。これらが私の人生において、どれだけ誇らしく、幸せなことか。子供に接する機会のない人こそ、尽力するべきなのです。
…それは、舞台芸術に関わってなくてもそうじゃないのか?それはそう。そうだけど、私が得られたこのスキルも、気持ちも、長期間のクリエイションを共にするという形でなければ得られなかったはずです。そして、親である以前に俳優であった萌さんに、また一人の俳優になってもらうためには、これだけの時間が必要でした。萌さんには、大変なことをお願いしてしまいました。私が手伝えるのは稽古場と劇場にいるときだけですから、生活にかかる多大な負荷を担うことは難しい。それなのに、最後まで一緒に頑張ってくださって、最後には「さくらさんと出逢えたことが財産」なんて言葉までくださいました。あぁ、やってよかった!その言葉に恥じないように、今後も頑張りたい所存です。
ということで、先週、双子と萌さんと一緒に、うんこミュージアムに遊びに行きました。次はもっとみんなで集まって、競馬場のデカ公園に行こうとしています。舞台芸術でできたご縁は、決してその場限りで終わるばかりではないのです。ほら、楽しそうでしょ?
