子無し50代それなりに幸せ
着付アドバイザー・舞台照明家 松本しゃこ
コラム

子無し50代それなりに幸せ

着付アドバイザー・舞台照明家 松本しゃこ

目次

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-経緯と今の状況-

30歳で照明家と結婚。夫の仕事があまりにハードなので、見かねて運転免許を取得し、機材車運転や現場でのサポートをする。現在、社員5名の小さな照明会社に所属しつつ、着物部門を作ってもらい、着付ワークショップやアドバイス・着物レンタル・舞台衣裳関係なども行う。

子供は居ないけれど、夫婦仲はすこぶる良好で、今は静かな生活を送っている。が、最初から子供を持たない選択を望んでいた訳ではない。ただただ目の前の仕事をしているうちにタイミングを逃してしまった。

-30代の経験-

30代はまだ役者をしていたこともあり、無我夢中で自分の出演する舞台に邁進しながら夫の照明現場を手伝う日々。時間や人がとんでもなく足りない現場も、力になってくれる仲間のお蔭でなんとか乗り切ってきた。子供はもちろん欲しかったが、当時は経済的にも時間的にも余裕がなかった。

当時の住居は日野市(夫の持ち家)で、毎回様々な劇場やホールに通う訳だが、その通勤だけでかなりの時間を要した。朝9:00入りなら6:00には出て、夜22:00退館して帰宅したら23:30を越えることもしばしば。私の運転中は、夫は寝かせてあげたかったし、行き帰りの運転だけでも、私も大変だった。

-40代の経験-

気付けば40代。着付師範の資格を取得し、下北沢で着付レッスンをスタートさせる。

ただただ走ってきた30代とは違い、自分のやりたい方向性が見え、軸が出来たのが40代だった。

照明家としてのキッカケになる即興ダンスの舞台も始まり、年に数回レギュラーで続けているうちに予算も増え、様々なアーティストさんから芋づる式に依頼をいただくようになり、やりがいを感じて来た。

照明の現場では、今まで「嫁」という立場で「手伝っている人」でしかなかった私が、初めて自分の現場を持ったことで、アイデンティティが生まれた。

パンフレットに名前が載ったことが、自分にとっては、実に大きなことだった。

夫の明かりを見続けて来たので、感覚でどうすれば良い明かりになるかが、自然に分かっていた。それは経験値も有るが、役者をやっていた時よりも長けているように思えた。

同様に着物の知識は舞台衣裳としてニーズが有り、そちらでも仕事が舞い込むことになる。仕事は順風満帆の一方で、子供を持つことへの意欲は反比例して行く。気付けば40も半ば。結果的に子供出来なかったな、という感じだった。

-育児ママをリスペクト-

話はだいぶそれてしまったが、仕事ばかり夢中で計画性0の結果、結局ノーキッズ。育児をしながら働くママさんたちは尊敬に値する。

子供を産み育てる世代のお母さんたちこそ、今、一番脂が乗ってバリバリとクリエイティブな仕事ができるだろうに、お子さんがいることでそれがままならないのが現実で、更に日本の社会はそこに全く重点を置いてくれない。『子供がいるから仕事できないよね』という考え方が当たり前の、助け合おうともしない男社会の腐った世の中である。本当に勿体無い。

だから助け合って現場に送り出したいという気持ちが強く、うちの照明会社の子供のいるメンバーのサポートをしている。保育園にお迎えに行ってお家でご両親をお子さんと共に待つ。これは彼女や私だけでなく、うちの会社にとっても、彼女の現場にとっても大切なミッションで、彼女にはもっと才能を生かして照明の仕事をいっぱいしてもらいたいのだ。

そんな仕事のできるママさんたちにエールを送りたいし、社会の意識こそ変えなければいけないと思う。

-病気があったからこその今とお気楽な50代の野望-

子供が居なかった分、やりたいことだけをやって生きてきた気はする。

割愛したが、卵巣膿腫と乳癌で動けない日々もあった。

40半ばで病気→手術・入院→動けないのでNetflix三昧→韓国ドラマにどハマり→独学で韓国語勉強中→韓国で着付の仕事が出来ないもんかと野望を抱く今日この頃である。

なので、子供が居ない=自分の時間が多いに有るからこその、新たな野望を狙いに行く力もまだ有る。

それはそれで、楽しい人生でもあると言える。明日死んでも悔いはないが、まだこれからどうなるのか自分の人生だけでもだいぶ興味深い。

子供はいなけりゃいないで残念ではあるが、それはそれ。お蔭様でそれなりに楽しい人生である。

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イベント情報

10/26(日)

<きものマ ーケット>
◆開催場所
ダイニングバー 『Genki Club』
◆開催時間
終日 11:00~17:00
◆イベント内容
1.リサイクル着物超特価販売
2.着物コーディネートアドバイス

<饗宴〜和LIVE>
ダイニングバー 『Genki Club』
チケット料金¥3,000
《昼公演》受付14:30 開演15:00
長唄三味線: 杵屋浅吉
朗読: 奥村そら
講談: 一龍斎貞介