4日後に初産
マル 劇場職員
東京住みの28歳で舞台関係の仕事をしています。
子どもをもつことは、都市部、殊に東京ではメジャーではありません(※1)。そして舞台業界ではさらにマイノリティであると体感します。
子どもをもたない選択もできる環境(選択しやすいという意味で)ですが、子どもをもつことを決めました。
前半ではなぜ子どもをもつことにしたのかということ、後半では妊婦として約10ヶ月を過ごした感想を書きます。私は劇場職員且つベビーシッターですが、その立場からではなく、初産を控えるひとりとして今回は書こうと思います。
子どもをもつことを悩んでいる人の参考に少しでもなれば幸いです。自分語りご容赦ください。
「子どもを育むこと」に比較的関心の高い幼少期を過ごしました。
小学1年生のときに妹が産まれ、幼い子どもと暮らす日常を過ごしていたからだと思います。7歳下の妹(三女)はかわいくて、2歳下の妹(次女)と取り合うようにして世話をやいていました(隙あらば抱っこし、手遊び歌をしたり、お人形のように髪を結んだり)。
子どもを可愛がることで自分自身が満たされて、幸せを感じられると知りました。
わたしは反骨精神強めの子どもで、大人(親や先生など)の態度・言葉に人一倍敏感でした。
「自分はああなりたくない」と、言われた言葉を自由帳にメモしたり、マンガ付きの育児本を読んだりしていました。
また、小さな子どもの情緒や身体を大人の都合の良いように軽率に操作できてしまうことが恐ろしいと思っていました。
自分より小さい子どもに自分が実際にかけてもらって嬉しかった言葉・かけてほしかった言葉を伝えることで喜びを感じるのと同時に、自分の嫌だった言葉や態度をとらないことで、嫌いな大人たちと自分は違う存在だと思うことができました。
これは当時の多感な私にとって重要なことだったと思います。
このように、子どもを育むことは10〜20代で自然と自分ごとになっていきました。
「子どもをもつこと」を強く意識し始めたのは20歳を過ぎてからでした。
地元の同級生の出産をSNSで知ったり、同い歳のはとこが20歳で出産したりして、その度に「私は産むのか?」と自問自答しました。
子どもを産まない人生がいいと思うくらい舞台へ没頭できたらいいのにと苦しみましたが、私にとって舞台の仕事は生きていくための手段で、子どもを産まない理由には結局なりませんでした。
そして「誰と暮らしていくか」は「どう暮らしていくか(仕事、ライフスタイルなど)」以上に、自分にとって大切なことだとある時にわかりました。
ここ数年、両祖父の死によって法事の場などで「家族」を見直したことも、子どもをもつことを決断するきっかけになりました。
舞台活動と並行する仕事には保育を選びました。
保育園は忙しく、子どもひとりひとりに向き合いきれないジレンマがありました。シッターは子ども1〜2人に密着して関わり、家庭内でゆとりある保育ができて、ご両親と成長を喜びあえることが自分に合っていました。
シッターの経験を積む中で、妊娠・出産・育児経験があることでより家庭に寄り添えると感じました。
また、勤務先の福利厚生(産休と育休が取れて社会保険の手当てを受けられる等)や、出産育児一時金(50万円※2)、東京都の出産・子育て応援ギフト(合計15万円分※3)なども現実的に子どもを「産める」と判断する条件になりました。
以上が、「子どもをもとう」と決断した経緯です。
