KAAT神奈川芸術劇場「カイハツ」プロジェクト
~子連れOK!新しい表現を探す旅~創作ワークショップ取材!
~子連れOK!新しい表現を探す旅~創作ワークショップ取材!〜
撮影:金子愛帆
取材会場:KAAT神奈川芸術劇場
※2025年7月取材
はじめに
2021年より始動した、KAAT神奈川芸術劇場による「カイハツ」。このプロジェクトは、劇場を「上演やその上演のための創作を行う場」としてだけでなく、「新たな表現の実験や豊かな発想を生み出す場」としても機能させることを目指して新たに立ち上げられたプロジェクト。「企画・人材」、「戯曲」、「創作プロセス」の3軸から成り、アーティストが試したいアイデアや表現、創作におけるアプローチをKAAT神奈川芸術劇場のアトリエで実践できる貴重な機会でもあります。
2025年度からは「企画・人材カイハツ」において初の公募が行われ、100件近くの応募が集まりました。その中から採択された1つがパショナリーアパショナーリアによる「子連れOK!新しい表現を探す旅」。「こえのわ」では5日間のWS(ワークショップ)の一部の様子と現場からの声をお伝えします。
(取材・文:丘田ミイ子)
「体の一部しか動かせない人」とのコミュニケーションとクリエーションとは?

ロビーに入った瞬間、扉の向こうから漏れ聞こえる愛らしい子どもの声。アトリエの隅にはベビーカー、その傍らには0歳児の赤ちゃんの姿も…。それもそのはず、このWSは「子連れOK!」。当たり前のように子どもや赤ちゃんが劇場の同じ空間にいるこの風景は、パショパショが旗揚げ以降掲げ続けてきた「家庭と演劇の両立」そのものを映し出す景色であるようにも思えます。妊娠・出産・育児を経験している一人として、そして、演劇に携わるライターの一人としても真っ先に伝えたい風景。アトリエにはキッチンも併設されているため乳児用のミルクや離乳食の準備などもスムーズ。子連れで参加する俳優にとって、「子どもも快適に安心して過ごせる」ということは創作環境として欠かせない。アトリエの行き届いた設備にそんなことを再確認する場面でもありました。
初日は、まず「カイハツ」とWSの企画趣旨の説明や挨拶から。WS上のルールもスケッチブックを用いながら説明したのち、それぞれの自己紹介タイムへ。自己紹介は参加者それぞれの家族構成と10 歳くらいの頃の記憶に残っている出来事を話す、という形がとられていました。しかし、 嘘をついてもOK。その後は、ウォーミングアップとして、ボールゲームや見えない大縄跳びなどで実際に体を使いながらコミュニケーションを図る時間に。

