子育て座談会~第一回スタッフ編~(前編)
舞台スタッフの仕事と子育てをどう両立していくのか
目次
企画について
舞台芸術の仕事と子育てについて、日々抱えている困りごとや不安、嬉しいこと、チャレンジしていることなど、気の向くままに参加者同士で話し合うための会です。今回は舞台スタッフのみなさんに集まっていただきました。
シッターさんに預けるって実際どんな感じ?双子育児をしながら現場に出るってどうしてるの?など、興味深い話題が盛りだくさんです。普段なかなか聞けない舞台と子育てについて、とことん話し合いました。
参加者
子供を持ちながら仕事を続けるための悩み
原田 子育てと仕事を両立している方に繋がりがない状況で、子育てをされている先輩としてまみえさんにすごく助けられた経験があります。
今小学生のお子さんをお持ちのまみえさんが、子供を産んでからも仕事をしなきゃいけない、となったときに苦労されたことと、今そういう状況の方が困ってることって、だんだん変わってきてるんじゃないかと…また業界も少しずつ理解が進んできていることを体感されてきたのではないかと思うので、まみえさん自身の経験とあわせて、そのあたりも伺えたらいいなと思います。
まみえ そうですね、まず、心構えのことで言うと、私は不妊治療の年数がすごく長くて、5年くらいかな…もうあれやこれややって、3回流産したりとかいろいろある中で、まず演出部を、舞台監督をやりながら子供を持つことは正直無理だろうなって思いながら仕事をしたりしていて、その時期の方が考える時間が長かったというか…。
何て言うか、前もって何年も先の仕事を受けるじゃない?この職業。
それで、子供についてどのタイミングで言ったらいいかとか、やっぱり考えるんですよ。この先2年は仕事受けません、とかっていうのをやるか、やらないか…みたいなことをずっとモヤモヤやりながら考えて。
で、実際、早めに断って、やっぱり流産しちゃったんで仕事できます、みたいな逆のパターンもあったりとかで。
なので後半はもう、何も言わずにいて。で、妊娠が発覚してからも、ちょうど稽古中か仕込み直前ぐらいだったのかな、本番も1か月あるからつかなきゃいけないし、旅も行かなきゃいけないしだったんだけど、言わずにやりました。やっちゃいました(笑)。
ま、それで上手く行けば行くし、みたいな気持ちでやっていたなと。
あまり考えずにやってきたってさっきは言ったけども、悩む期間っていうのは事前にすごくあって、もちろん、妊娠中と出産後は、あ、もう絶対仕事できないなっていう、真っ白、みたいな気持ちではいました。絶対、現場にベタ付きでいなかったら成り立たないなとは思ってはいたので。
ただ、子供が理由で仕事ができないっていうのと、ケガや病気が理由でというのは同じで、
どちらかというとこの不安はフリーランスであることから来るのかなと思って。
自分が動かなかったら収入はゼロっていう不安はすごく押し寄せてきましたね。
そんなときに今の会社に入れてもらって、細々とだけど舞台の仕事を続けることができてます。
原田 同じような話題をプラットフォームのメンバーでも話したことがあって、子供を産むとか子供がいるっていうことに理解があるようで本当の意味ではそうでない人とだと、危ないから!子供を大事にしてね!って言って、こう…離職せざるを得ないような雰囲気になってしまうことがあるけれども、でも例えば、ケガしたときは照明だったら脚立の作業はできないけどオペレーションはできるよ、とか、違うことに振り分けてもらっている人がいるはずなのに、出産や子育てだと何か自分たちも遠慮してしまっていることがあるよね、という話もあったんですね。
まみえ 遠慮か…。遠慮ね。そうだね。そうだなぁ…私の周りには確かに同世代で同じ状況の人はあまりいなくて、唯一いたのが、美術家の中根聡子さんだった。うちより3つ上のお子さんがいて。彼女のやり方をいっぱい真似させてもらいました。シッターさんを使って現場に出るとか、現場に子供を連れて行くときにこういう準備をしたらいいとか、そういうことはいっぱい教わったというか、真似をしてやったりしてましたね。
