子育て座談会~俳優・スタッフ一緒に編~(前編)
俳優・スタッフそれぞれの立場から考える、子育てとキャリアについて
座談会

子育て座談会~俳優・スタッフ一緒に編~(前編)

俳優・スタッフそれぞれの立場から考える、子育てとキャリアについて

目次

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なおえ 求めるキャリアとか、いくら稼がないといけないとかは各々違うと思っていて、それによって、やらなきゃいけない作業量とか、年に何回公演打たないと劇団が持たない、みたいなこととかがあると思うので、それによるかなとは思うんですけど、私たちの団体は、1つの戯曲を1年かけてやろうみたいなことをやったりするんですね。

週に1回オンラインで読み合わせをして、月に2回、稽古場を取って対面稽古してっていう、生活に組み込めるペースで稽古場を作っていって、最後、ちょっとここだけ頑張って公演しようねみたいなことでやっていて。

稽古場にもちろん子供も連れて来られるし、誰か見ててね~とか、自由にやっててね~、みたいな形でやっているので、子供のいる人のペースで作ってみませんか? みたいなことをちょっと言い出してみたりしたら、なんかいけるのかなって思ったりして。
主催の独裁みたいになったらあれなんですけど、自分のペースでも行けるやり方って、多分絶対あると思うので。
ただね、いくら稼がないといけないってことは月に何本仕事しないとってところとかも出てくるので、そこはもう個人の場合だと思うんですけど、私はもう夫にも頼ってるし、実家も頼ってるしで、もうなんか、「頼れるとこ全部頼っちゃえ☆」みたいな気持ちでやっているので、そのくらいの気楽さで行くのもありなんじゃないかなっていう。

公演って2ヶ月でギュッと詰めて作らなきゃみたいな定型パターンがあるんですけど、全然それを崩してもいいと思っているし、稽古も別に、対面だけじゃなくてzoomで読み合わせとか、そういうテクノロジーを駆使してもいいし、結構、今の時代は何でもアリみたいなところが、良くも悪くもですけど、あると思うので、その方向性にちょっとずつ切り替えていくのもいいかなっていうのは、実体験でちょっと思ったりはしています。

松本 本当、そうですね。お金のことを考えるのか、それとも長く続けていくことを考えるのか、その、キャリアっていう言葉に、何を重きに置くのかって、その人によって違うんでしょうね。
特に舞台芸術の仕事って、形がないっていうか、道が決まってない。それぞれにやり方がいろいろあるので、何を目指して行くかも人それぞれですよね。

ライト ちょっと聞いてもいいですか?なおえさんの団体が、子育てしながら活動してる方や地方で活動してる方と作品を作るっていう方向性に振り始めた契機って、何かあったんですか?

黒澤世莉さんにコラムを書いていただいてるので、そちらを読んでくださってる方もいるかもしれないですけど、世莉さんご自身はお子さんいらっしゃらないですよね。どういうきっかけがあったのかなって。

なおえ 世莉さん、コラムに書いてあるようなことを普段からわりと言ってるんですね。
子育て世代だったり、地方にいる魅力的な人たちともやりたいっていうのと、社会構造の不平等さというか、なんで子供持ったら女性はいろいろ諦めなきゃいけないんだろうみたいな、それは何か社会的な構造が悪いんじゃないだろうかっていうのを強く持っている人なので、じゃあとりあえずやれることで自分たちはやってみようよ、っていうところからなんじゃないかなっていうのは、ありますね。

一緒にやりたい俳優たちが、子供がいたり社会人になったりでなかなか活動できないけど、なんとか一緒にやりたいっていうのと、やっぱりこれは社会構造の何かにつながるかも、みたいなところの両方というか、いろんな視点でやってるとは思います。

3.舞台の仕事は子育てと両立するのには向いてない?

ライト やりたい人とやるって、割とキーワードのような気もしてて、さっきみどりさんも言ってましたけど、舞台の仕事をプランでやってると、名差しで仕事をもらえるから、なんとかして続けたいんですよね。

もう何回考えたか分からないくらい、舞台の仕事と子育ての両立、全然向いてないなって思うんです。
やめた方がどれだけ楽か、17時までに終わる仕事を見つけた方がどれだけいいかって、もう何百回となく考えてるんですけど、できる範囲でやる、もう私は17時になったら稽古場を出ますって言って、それでもいいって言ってくれる人がいる限りはやり続けようかな…っていうことをだらだら続けていたら、今に至ってきて。

今年、とある高校の文化祭の照明をやったんですね。それは高校の仕事だから、18時まで、言ったら日によっては17時まででも大丈夫くらいの感じで。で、毎日22時まで働いてるときより予算は少し安いみたいな。それがちょうどよかったなって思って。

3年生がね、7クラスそれぞれで演劇やるっていうなかなか熱い文化祭で、7クラス分の照明を手伝ってあげるっていう仕事だったんです。なのである程度の力量もないと、多分さばけない。っていうときに、会社内で、あ、私ばっちりだね、ちょうどいいねみたいな話になって。

舞台照明の仕事っていっても9時~22時働けないと続けられない仕事ばかりじゃないっていうか。
今、明らかに仕事の仕方が産前と産後で違ってて、自分がこうしたいんだっていうことを言い続けているうちに、なんか最近収まってきたなっていう感じはちょっとあるんですよ。

元々そういう風に思ってたわけじゃないんですけど。だから、産前に思い描いていた両立の仕方は一切してないけど、このプラットフォームデザインlabの活動も含めて、思いを持ってやっていくといろんなことがくっついてくるな、みたいな気持ちを今まさに感じているところがあって。

でね、これってつまりは舞台業界の働き方改革みたいな話につながってくと思うんですけど、最近知り合いの方から、会社に入った20代の子が介護をしなきゃいけなくなって、朝9時から夜22時まで働く働き方じゃなくて、照明を短時間でちょっとシフト制にする方法を模索しているから、意見交換しませんかみたいな話を持ちかけられて。
やっぱこういう問題って子育てのことだけに限らないし、お、なんか色々と発信してきた効果がちょっと出てきたぞ?みたいな。業界の構造を変えちゃうぞ!みたいな(笑)。あ、いや、そこまで強気なこと言えないんですけど(笑)。

松本 どうでしょうか? ココさん。皆さんのお話聞いて。

ココ すごい。あの、ちょっと業種は違うんですけど、やっぱり、皆さん同じようなことで悩まれてるんだって、ほっとしました。
私は、自分に少し合わせてもらいつつ、どうにかして自分も周りに合わせなくては、という思考に囚われているんだなと思いました。

去年の公演は子どもが生まれた関係で、今まで2~3カ月で作っていたものを4~5カ月くらいかけて作ろうって決めて、日曜は保育園がないから稽古なし、基本稽古も朝昼で、集中稽古だけは夜まで子供を主人に見てもらってっていう形にしたんですけど、そんな中、当時0歳だった息子が肺炎で突如入院するというイベントが発生しまして……。

どうしようもないので病院と稽古場行き来したり、保育園行けない間は稽古場に子供連れて行ったりして対応したんです。子供連れてくるのは大丈夫な現場だったので。
お子さんいらっしゃる俳優さんとかスタッフさんにも、いつでも稽古場連れてきていいですよってことにしてて。

でもそこで難しいなって思ったのが、俳優さんやスタッフさんがお子さん連れてくることは全然気にならなかったのに、自分が子供を連れていくってことのプレッシャーが結構すごくて、自分でそういう稽古場作ったくせに、すごい申し訳なかったんですよ。

私が稽古場回さないとなのに、自分の子供が暴れてるとそっちが気になっちゃって、結局皆さんにご迷惑かけちゃってるなみたいな気持ちになったりとか、あとは、入院するときとかも、皆さん優しいから、今日は稽古休みにしたらっていうこともおっしゃってくれたけど、やっぱ自分の稽古場だし、私が行かないと稽古進まないぞとか、その場の責任者がいなくなっちゃうことへのプレッシャーとかもあって、結局親に無理して地元から出てきてもらって入院の世話してもらって、その間に稽古場行くっていうことをしたんです。

そういう経験から、あ、公演打つの、結構厳しいぞっていうことを、その当時…というか、今まで思ってたんですけど、なおえさんのお話とか聞いて、自分が皆に合わせに行く比率と、皆に合わせてもらう比率みたいなのを、今後考えていけたら、いい現場に近づけるのではないかな……っていうことを、思ったりしました。

構成・編集 安齋里美

中編は3/21に公開予定です

後編は3/25に公開予定です

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