子育て座談会~俳優・スタッフ一緒に編~(前編)
俳優・スタッフそれぞれの立場から考える、子育てとキャリアについて
目次
企画について
舞台芸術の仕事と子育てについて、日々抱えている困りごとや不安、嬉しいこと、チャレンジしていることなど、気の向くままに参加者同士で話し合うための会です。今回は俳優、スタッフの垣根なくお集まりいただき開催しました。
『産前と産後で舞台芸術の活動との関わり方がどのように変わっていったのか』『子育てをしていてよかったこと』などたくさんの話題を語らいました。どうぞ最後までお付き合いください。
参加者
1.子供のいる人生と演劇の仕事
松本 今回はココさんから、「子供を育てながらの演劇人としてのキャリアの積み方」というテーマを事前に頂いていました。こちらについて、ココさん、お話しいただけますか?
ココ はい。私は、妊娠・出産を機に演劇活動を休むってことをしなかったんです。
妊娠中も2本公演打って、とにかくやらなきゃ、みたいな気持ちで出産予定日の前日まで脚本書いてたレベルでやってて。
出産後も、生まれて半年くらいで、元々決まってた公演があったので、保活とかしながら、一昨年なんとかやり終えたんです。
でも、それがとっても大変で、正直、自分の劇団で公演を打つって、子供を育てながらは難しいな…みたいな気持ちになって、子供を持ってる状態でどういう風にこの後の活動を考えていけばいいのか、どのくらいの規模感で自分が活動していきたいのかが、分からなくなってしまって、焦っています。
ただ、個人的に良い変化だなと思うこともあって。子供ができたことで、人生って長いんだってことを改めて、当たり前のことなんですけど、感じまして。
子供がいないときはもうガムシャラにやってたんで、今何とかしないと!今頑張らないと!どうにもならない!って気持ちだったのが、子供ができて成長するにしたがって、自分もその分年を重ねるじゃないですか。当たり前ですけど。
それが心地よくもあって。自分の人生がもう少し落ち着いてからまた活動を始めるっていうのも全然アリだなとも思ってるんですけど、そのへんが自分の中でうまく整理がついていないので、
皆さんが妊娠出産したときに、そのあたりをどうやって考えたのかなっていうのをぜひお聞きしたいなと思って、このテーマを出させていただきました。
松本 ありがとうございます。どうですかね、皆さん。
私は今は全く現場に立たなくなってしまったので…。ただ私の話もさせていただくと、私、1人目のときは、それこそ産む前までは、もう両立する気満々でいたんですね。むしろちょっと焦るっていうか。
子供がいても舞台の仕事を続けていきたい、途切れずにやりたい、だから、どんどん仕事を取ってかなきゃって思ってて。
だけど実際生まれてみたら、やっぱりうまくいかなくって。突然病気になるし、昼寝は必須なのねとか、見えてなかったことが出てきて、厳しいなっていうことも分かってきて…そんな中でも演出助手の仕事は続けてたんですけれども、だんだん、現場やらないで私が家にいた方が家族みんな幸せだし、私もその方が落ち着くなって思うようになったんです。
あと2人目が欲しいっていう気持ちもずっとあって、現場に対してだんだん消極的になっちゃって、実際2人目が生まれてみたら、現場に対する気持ちがフェイドアウトしていったんですね。
あとはプラットフォームデザインlabを通して、今までとは違う形で演劇に関わってるっていうところで、今すごく満足していて、だから、これはこれで、私の形がこうなったなっていう感じなんですよね。ここにいる皆さんは、続けてらっしゃる方の方が多いので、私もぜひお話お聞きしたいなと思うんですけれども、どうでしょうか。
みどり 私は、いた会社ができて3年目とか4年目とかのまだちょっと新しい、小規模な会社だったんですけど、どんな仕事をしていこうかっていうのを会社として模索している状態で、私は舞台音響の仕事をやりたかったんですけど、会社の他の業務が多くなって、やりたい仕事があまりできなくなってしまったんですね。
それで、結婚とか出産とかのタイミングがかぶったのもあって、会社を辞めたんですね。
で、出産して、もちろん現場に出るっていうのは難しかったんですけど、それまでお声がけしてくれてた劇団の方だとか、主催の方で、どうしてもみどりちゃんにやってほしいなとか、別の人に頼んでみたけどやっぱりみどりちゃんがいいなって言ってくださる方が何名かいらっしゃって、
それで、ちょっと現場には出れないですけど、お手伝いとかプランはやるので、オペレーションは別の方で…っていう今の形がだんだんできていったのかなとは思っています。
今は赤ちゃんがいるので、ちょっと今後のことは分からないですけど、がっつり現場に戻るかって言ったら、ちょっと難しいかなとは思ってて……。
子供たちすごい可愛いので、一緒にいたいなって私が思ってて、夫も私と同じ舞台音響の仕事をやってるっていうのもあるので、
家族のスケジュールとか、そういう余裕が出てくる…ま、いつ出てくるのか分かんないんですけど…そういうときに、私もちょっと音響のことできたらなぁ、とは。
下の子が幼稚園とか保育園とか入って、昼間時間が取れたら、ちょっと稽古見に行くとか。もうちょっと幅広くというか、演劇のお仕事を、観劇するとかももちろんそうなんですけど、そういうのができたらいいなって思ってはいます。はい。
松本 ありがとうございます。うんうんうん。そうですね。
2.続けていく原動力 ― キャリアという言葉が表すもの
松本 原田さんは、今もバリバリ子育てと大学・美術のお仕事とやってらっしゃいますけど、どうですか? キャリアの積み方っていうところで。
原田 私も、出産前はこれだけやってたのにな…っていうことを、やっぱり毎現場すごく考えてしまって。
100%、舞台のことだけをやってる人間だったので、その頃に比べると、例えば夜遅くまで稽古場にいるのが難しかったりとか、土日に打ち合わせを入れたいって言われたら調整しなきゃいけないみたいなこと、毎回そこにノッキングがあるっていうことに、未だに慣れてなくて。
もう6年も子供がいるんですけど(笑)。でも、それを上回るぐらい、子供を育てているということ、家族がいるということによって子供がこれから育っていく社会がどういう風になっていったらいいかなっていう視点をもらえたことは、本当に子供を持って得られた最高のことだと思っていて。
そこを軸に、自分のキャリアだけじゃなくて、何か、これからがより良くなっていくように活動していけたらいいなって考えるようになりました。
ただ、大きいことで言うとそうなんだけど、やっぱり小さいこと…例えば、明日締め切りの仕事の時間をどこで捻出するかとか、来週の発注に間に合うようにスケジュールを全部パズルしても、子供の予期せぬ事態……今日も、朝から娘が耳が痛いって言っていて、あ、明日病院連れてかなきゃいけないのかってなったら、ちょっと朝入ってるこれを午後にして、もしくは夫が朝予定してたこれを他のところに入れて、もう家族でスケジュールをパズル、テトリスしながら、本当に日々、未だに試行錯誤してて……
ま、それも何ですかね。なんか、ままならないけど、ままならない中で最大限働くってことで、かえって何か生み出す力をもらえているように思います。
打ち合わせをしてるときに、舞台のことだけやってたら絶対に発想できなかったことがあったりすると、新しい視点が着実に積み上がってるな、自分の中にそういう財産があるんだ、と実感することがあります。
それは全ての時間を制作に傾けることと、同じぐらい価値があるのかなっていうふうに考えが変わったことが、今の私にとっては、続けていける原動力になってるかなって思います。
今までだったら、オファーがあった仕事はひとつも断っちゃいけないなと思ってたけど、時には断るという選択肢も考えたりとかするようになりました。
そういうジレンマの中で、子供を育てながら仕事を続けてる先輩方も苦労したのかなって、その人たちの顔も思い出しながら、あと後輩のことも思いながらこう、続けていけているっていう感じですかね。
松本 ありがとうございます。なおえさんはいかがですか?

