特集座談会
制作者の声から考える子育てと演劇
座談会特集

特集座談会① 前編

制作者の声から考える子育てと演劇

目次

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現場に行くためにお金がかかる

北澤 半田さんの現場ではどうされているんですか?

半田 小林さんとの仕事では、通し稽古に来られる時間帯が限られているから、早めに衣装付き通しをやる日を決めて、逆算して通し稽古の日時を決めています。どうしたら成立するかの算段を先に立てるようにしています。

小林 そう、稽古スケジュールのハードルがものすごく高い。

半田 打ち合わせも、通常は稽古終わりの20時以降が多いけど、小林さんが来るときは17時までに設定します。でも結局、時間オーバーしてしまって小林さんは先に帰られることもありますね。

小林 だから稽古前の午前中に打合せします。子どもがいるスタッフも多いですし。

半田 経済的な面だと、最近、アーツカウンシル東京の助成金で「創作環境サポート」を利用しました。ハラスメント防止講習か託児のように使用が限定されているものなんですが、スタッフさんに周知したところ、消化率が低くて使い切れなかったんですよ。

小林 そうなんですよ、全然使えなくて……。でもそれは私がベビーシッターさんを利用していなかったからです。すでに託児を自分でなんとかする方法でやってきている人は、その公演だけ助成金のシステムを利用するのは難しいかなと思います。

半田 運用のルールが細かく決まっていて、申請している事業者じゃないとダメなんですよね。あと、利用者はチラシや当日パンフレットにクレジットが記載されている人じゃないといけないから領収書はご家族の名前だと使えないし、カード払いだと明細が必要なのでできれば現金精算でやってほしいとか……

北澤 それを制作が整理するのも大変ですね。

半田 そうそう。そういったルールを伝えて、みなさんに慣れてもらうまでがまた大変です。別の現場では、最初の顔合わせのときにベビーシッターさんに稽古場に来ていただくのに使おうと思っています。ただ、稽古場に別の部屋が借りられるかを確認するところからはじまり、2人預けると1日3万円くらいかかりそうだから2~3ヶ月続くプロジェクトでの予算配分をどうしようかなと、頭を悩ませています。この後に通しもあるし、仕込みもあるし、予算が足りるかな……。使い方が難しい。

露木 以前、友人として、ある俳優さんから当時3歳だったお子さんをお預かりしたことがあります。その日は、郊外で映画の撮影がありました。私はターミナル駅近くのプレイルームで待つつもりでしたが、俳優さんの希望で撮影現場近隣の児童館で半日過ごすことになりました。預けたいけれど、同時に、目の届くところにいて欲しいという願いを持つ養育者は少なくないのではと考えています。

北澤 私は子どもが小さい時は、慣れない人や場所に預けることに抵抗があって、でも夫も私も実家は東京以外で、親にも頼めない。子どもが1歳頃だったと思うのですが、その頃はキャリアに焦ってもいて。「今日は絶対この仕事をしなきゃ」と思って、1回だけベビーシッターさんをお願いしたことがありました。でも、隣の部屋で子どもを見てもらっていてもハラハラしちゃって……1日2万円くらいかかったけど仕事にも全く集中できずに終わりました。

小林 私は仕事の知り合いに家の鍵をわたして、子守をお願いしています。仕込みやゲネの人は9時から22時まで劇場にいるので、18時に保育園のお迎えに行ってもらって、帰宅まで一緒にすごしてもらっています。

北澤 いいですね!家に近い人がサポートしてくれるのが一番安心ですよね。これまでに、稽古場や劇場の近くで託児をお願いしたこともあるのですが、やはり、稽古場や劇場まで子どもと一緒に行くということ自体が大変な面がありました…子どもが小さかったこともありますが、お弁当をつくったり、荷物を準備したり、稽古場へ行く電車の中では、普段は稽古や作品のことを考えていれば良かったのですが、子どもと一緒いると、自分自身の気持ちの切り替えのタイミングなども難しかった。

露木 子どもにとっても慣れた環境(家庭)で過ごせるというのはメリットが大きいですよね。過ごし方を自分自身で選択しやすいですし、生活リズムも崩れにくいと思います。ただ、外の預け先であっても、そこがその子の安心できる居場所になっていけば、問題ないようにも思います。話は変わりますが、住んでいる地域によって受けられる子育て支援サービスには違いがありますよね。そうした情報なども、演劇に関わる子育ての仲間で共有できると良いかもしれません。

小林 子育てしやすい地域に引っ越すのはありますよね。そしたら他の区が制度を真似していくから、子育てしやすい地域のトレンドは変わるって聞いたことがあります。

北澤 行政は生活に直結してますよね。

半田 あの……働くためにすごくお金がかかっていると思うんですが、そこにかかる費用をギャランティとして上乗せしてもらえることもあるんですか?

小林 プラットフォームデザインlabのメンバーに美術家がいるんですが、彼女なんかは助手料をつけることでやっていっているようですよ。もし子どもになにかあったときに、代わりに現場にいる人を確保することに代価を払ってもらうという考え方です。でも難しいことの方が多いような気もします。

露木 先ほど、半田さんから「創作環境サポート」の助成金の消化率が低かったと話されていましたが、もしお子さんが急病になって病児保育を使いたいという場合であれば、みなさん利用しやすいのでしょうか?

小林 それはよさそう!

半田 あの、病児保育とは……?

小林 あっ、そうですよね。普通の保育園は高熱がでたり感染症になったら通園できないので、病気の子も預けられる施設があるんです。予約をとるのが激戦でなかなか簡単に利用できるとはいかないのが現実だけど。でも、そういうことは子育てをしていないとなかなか知る機会がないですよね。

半田 まったく知りませんでした……

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