音響家パパの観察日記
平倉春香
目次
初めまして、こんな家族です
初めまして。私は育休明けに退職した元会社員、現在主婦のママです。我が家には一歳半の双子男子たち、お姉ちゃん気取りの犬、そして舞台音響家のパパがいます。
学生時代から演劇を続けているパパは、舞台の仕事ひとすじでここまでやってきましたが、今は育児とお仕事の両立にてんてこ舞い。そんなパパの様子を、ママから見てお伝えしていきたいと思います。
育休なんてない!
育児参加したいけど、育児参加できない、というのがパパの最初の悩みだったと思います。
最近、同世代の友人たちの話を聞くと、父親も育児休業をとっている人が多くいます。
しかし、パパは舞台音響の会社を経営している身の上。
会社員ではないので、当たり前ながら「休むと無給になる」わけです。むしろ「家族のために稼いでいかなくちゃ!」と、産休中、予定日よりかなり前はしっかり仕事を入れていました。
ただ、せっかちな双子は二か月ほど早く出てきてしまったために、パパは年越しのイベントの合間、真夜中に里帰り先の病院から突然電話されることに。
「生まれます!」と看護師さんに言われても、翌日も現場のため駆けつけることができず、ずいぶん心配したようです。
特に里帰り中、赤ちゃんたちの様子が気にかかるやら、そうそう簡単に会いに行けないやらで、ちょっとピリピリしてしまったパパ。
すぐ保育器に入ったため、長男の写真がバストアップしかなかったので、
「もしかして足がないのではないか」と、会いに来られるまでパパは心配していたみたい。
育児についてのことを、ママとママの実家で勝手に決められてしまう、と感じていたパパ。
「子どものモノを相談なしで勝手に買わないでほしい!」
と、ママと喧嘩になることもありました。
里帰り中も何度かヘルプに入ってくれたのですが、里帰りから戻ってきてからは、さらにがっつりお仕事を減らして子どもたちやママと向き合ってくれました。
その間収入がない、また、お仕事をお断りすることで次の仕事がなくなるかもしれない、とパパは大いに気をもんでいました。
一家四人と一匹の生活を独りで背負っているパパの、悩みは深かったみたい。
ママも産前産後、体調不良などが多かったのであまり寄り添えず……気持ちの面でも、パパの支えになるものがもっと必要だったなと感じています。
朝っぱらのシンデレラ
里帰りから戻って一か月後の生後六か月から、双子は保育園に通っています。保育園に入ってから、家で見る時間が減ってずいぶん楽になりました。
保育園に入ってからおうちで苦労したこととしては、なんといっても離乳食!
初期、どろどろのお粥や野菜のころは、もぐもぐとひたすら一生懸命に食べていた双子ですが、つかみ食べするようになった中期ごろから、遊び食べが始まりました。
だんだん遊ぶようになっていったのでママはあまり驚かなかったのですが、忙しい現場が終わって一週間ぶりくらいにご飯を食べる双子を見たパパは驚愕。
「こんなにご飯を投げるのは何か発達がおかしいんじゃないか?」
心配して小児科でも聞いてみたものの、「そういう子もいる」と言われました。
そんなタイミングでママが抱っこのし過ぎで腰を痛めてしまい、一か月近くパパが毎朝、大量のご飯まみれの床を雑巾がけすることになりました。
「いつまで続くんだ……これじゃやっていけない……」
パパは毎朝うめいていました。
床を拭く自分を「シンデレラみたい」と言っていたので、ママは思わず笑ってしまいました。
敷物を敷くとか、大きめのエプロンをさせるとか、そんな対策もむなしく、毎日床はごはんまみれ。
特に米が嫌いな双子は、残ったご飯をぽいぽい投げるので、床はベッタベタ。
結局パパの提案で、クイックルワイパーを買い、ペーパータオルで落ちたものはマメに拾うことにして、何とかやっていっています。
一歳半の現在も、それなりに投げてはいるのですが、少し落ち着いては来たかな……?
大変ですが、試行錯誤をパパとママで一緒にできたことで、「一緒に育児に当たっている」という感覚は得られたなあと思っています。
忘れられたくない!
一歳を過ぎてからのここ数か月、やっとパパが営業のための飲み会や深夜の打ち合わせに出てきても困らなくなりました。
0歳の後半では一晩に夜泣きが二人合わせて七、八回あったものの、現在では二、三回で済みます。
ずっと抱っこしていなくても寝るようにもなりました。喋るようになって、本人たちの意思がわかるようになったことも大きいですね。
保育園から帰ってきてパパがいないと、時々「ぱぱ~?」と別の部屋に探しに行くようになりました。
最近は、現場が終わって帰ってくると寝ていて会えないのをパパはさみしがっています。
お休みしていたこともあり、「今後の仕事の取り方も考えていかなくちゃ」とパパとは話しています。
