子育て座談会~俳優・スタッフ一緒に編~(中編)
俳優・スタッフそれぞれの立場から感じる、子育ての楽しいところ、良いところ
座談会

子育て座談会~俳優・スタッフ一緒に編~(中編)

俳優・スタッフそれぞれの立場から感じる、子育ての楽しいところ、良いところ

目次

企画について

舞台芸術の仕事と子育てについて、日々抱えている困りごとや不安、嬉しいこと、チャレンジしていることなど、気の向くままに参加者同士で話し合うための会です。今回は俳優、スタッフの垣根なくお集まりいただき開催しました。

『産前と産後で舞台芸術の活動との関わり方がどのように変わっていったのか』『子育てをしていてよかったこと』などたくさんの話題を語らいました。どうぞ最後までお付き合いください。

参加者

参加者
なおえさん
俳優 小1のお子さんがいます
参加者
みどりさん
舞台音響家 小1と0歳のお子さんがいます
参加者
ココさん
劇団主宰・脚本家・演出家・演技講師 2歳のお子さんがいます
参加者
そらさん
俳優・ナレーター 4歳と2歳のお子さんがいます
参加者
ライト(プラットフォームデザインlab)
照明家 小1のお子さんがいます
参加者
松本(プラットフォームデザインlab)
アルバイト 6歳と2歳のお子さんがいます
参加者
原田(プラットフォームデザインlab)
舞台美術家 6歳のお子さんがいます
参加者
中村(プラットフォームデザインlab)
舞台美術家 小3のお子さんがいます
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前編はこちら

4.子育てして良かったこと①

松本 次のテーマですが、なおえさんからいただいた、「プライベートでもお仕事でも、子育てしてみて良かったこと・助かったこと・役立ったことなどをみなさんから聞きたい」こちらについて話したいと思います。

確かに、子育てと舞台の話をしてると、難しいなって眉間にシワが寄っちゃうような話題が多くって、もちろんそれを話していくことがすごく大事なことなんですけれども、
それと同じぐらいの熱量で「子育てめっちゃ楽しいよね」みたいな話も是非聞きたいなって、私も思いました。

なおえさんいかがですか? このテーマにした理由についてお話しいただけますか?

なおえ あ、もう今まさにおっしゃっていただいたような感じで、社会人でとか介護でとか大変な方っていっぱいいらっしゃって、
そういう方が演劇とか舞台とか芸術をやる中で大変なお話ってやっぱりいっぱい出てくるんですよね。

で、それを発信するってめちゃくちゃ大事なことだとは思ってるんですけど、たまには、お仕事で実はこれが良かったよとか、こういうことが助かったよとか、そういうお話も共有できればいいなと思ったので、今回ちょっとお聞きしたいなと思って、はい。テーマにしてみました。

松本 なおえさんご自身はどうですか?

なおえ そうですね。毎日がもうぐちゃぐちゃというか、日々がすごいスピードで過ぎていくので、よく分からないままここまで来ちゃったっていう感じはあるんですけど。

でも、これは俳優としてなんですけど、やっぱり俳優やってると、子供を持つ母親の役とかも絶対あるわけですよね。

で、もちろん子供をお持ちでなくても、見事な演技をする方っていっぱいいらっしゃるし、何て言ったらいいんでしょう、いないからできないってことはもう本当に、決して無いと思ってるんですけど、
やっぱり、自分の命を賭けてもいい存在っていうのは本当に初めてだったので、そういう経験ができたことと、この子を危ない目に合わせるやつは呪い殺してやるみたいな(笑)

そういう気持ちとか、もうとにかく子供がいなかったら多分味わえなかったですね、自分より大事なもの、みたいなのを。
それを経験できたのは、本当俳優としても良かったなって思っています。

あと、いろんなことが大らかになった気はします。
けっこう私、神経質で、あれダメ、これダメ、ここ汚さないで、ここ綺麗にして、みたいな人だったんですけど、ちょっとこぼしても、「あ、いいよ~、拭くから全然大丈夫~」みたいな。
その大らかさはわりと芝居にもつながっているので、そういう面では良かったかなっていうのが自分の話ですかね。

他の方はどうなのかなっていうのは、すごく気になるところです。

松本 中村さん、これ良かったなっていうことありますか?

中村 私もなおえさんがおっしゃるように毎日がいっぱいいっぱいな状態なので…でもそうですね。うーん。

私は、子供と一緒に過ごしたりすることで、日々の食事にすごい意識がいくようになって。当たり前なんですけど、やっぱり衣食住って、生活のベースだなと。
自分自身、どちらかというと食をかなり雑にしてきたというか、仕事中心ですぐ食事を抜いちゃったり、朝ごはん食べないとかそういう生活をしてきまして。

子供との生活の中で仕事を続けていこうと思った中で、改めて、身体を作るための食事ってとても大事だなと実感して、食について勉強したいと思うようになりましたね。

あと稽古場になるべくお弁当とか作っていくようになって、それは節約の面もありますけど、子供との生活を通してそうしたことを大事にしていきたいなと。

現場がある忙しいときとかにもなるべく、おにぎりとちょっとおかずぐらい入れていこうとか、そうした部分に視点が開いていったんで、それが今すごく楽しいです。

明日あれ食べたいなとか、子供とこれ食べたいなとか、夕食に余ったおかずを明日の稽古場に持っていこうとか、それを考えるのが、今めちゃめちゃ楽しいですね。

松本 分かります。1人の生活で舞台やってると、もう自分の生活なんて無いようなもので…本当に軽くコンビニで済ませて、生きてればいいやみたいなぐらいの感覚になっちゃいますもんね。

子供がいると、やっぱりその子のために時間をかけるし、手間もかけるし、そうすると自然と自分もそうなるし、いいですもんね。すごい分かります。

中村 子供が残した夕食を、やっぱり食べなかったか〜と思いながら次の日の現場のお弁当に入れて食べるのも、それもまた味わい深いといいますか。

5.子育てして良かったこと②

松本 他の皆さんはどうですか? こんなエピソードあるよ~みたいな。

そら うちの子は今4歳ともうすぐ2歳で、見ていてつくづく面白いなと思うのが身体感覚を獲得していく過程だったり、言葉を獲得していく過程みたいなところですね。

文字がまだ読めない子供たちの認知している世界がすごい興味深くて、それをしみじみと楽しんでいる感じはあります。

何でしょうね。2人を見ていると、「私の世界って文字を基本に構成されてるんだな」って感じるんです。だけどまだ読めない子供たちからすると、例えば歌の歌詞なんかも、聞いていて聞こえたように歌おうとするけど、聞こえ方も文字を介していないから自由だし、口の筋肉がまだ上手には使えないから思ったようには発語できない。だから全然違うこと歌ってたりするんですよね。

あと、寝返りを打つときってこういう風に体を使っていくんだ!とかっていうことが、俳優訓練のやってきたこととつながって、「あ、こういうことだったんだ!」みたいなことがたくさんあって、面白かったです。

松本 なるほど…。

そら びっくりするけど納得しちゃうことも色々あって。

「おかえり」「ただいま」って言うじゃないですか。もうすぐ2歳になる息子は今、その二つの区別がついてないんですね。自分が帰ってきて家の中に入ったときに「おかえり」って言ってたりするんです。
あ、そっか、「おかえり」という言葉を、「人が家に帰ってきたときに使う言葉」と認識してるんだな、自分が帰ってきたときは「ただいま」、誰かが帰ってきたときは「おかえり」なんだけど、その状況の違いって、そりゃそうだよね、分かんなかったよね、みたいな。

あと、私がナレーションもやるからっていうのもあると思うんですけど、私は言葉を発語するとき、「文字があって、その文字の滑舌の正解みたいなものに合わせていく」という感覚がすごく強かったんです。
でも子どもが喃語から言葉を習得していく過程に親として触れていたら、考えてみたら当たり前なんですけど、文字に合わせて口の筋肉を動かしていくんじゃないんだなってことがすごく新鮮で。

一生懸命何か言ってて、多分明確に何か指してることは分かるんだけど、何を言ってるんだろうなって思ってたら、「あんた」って音がこの子にとっては「トマト」だったんだとか。

「ああ、そうやって言ってたのか!」ってずっと聞いててやっと分かったときがとても面白くて、そういうことが表現者としてインスピレーションだったり、役へのアプローチだったり、何か根源的なことに繋がるんじゃないかなって思ったりしました。

松本 すごい分かります。私も今下の子が2歳で言葉を発し始めているんですけれど、なんか本当、親でも何言ってるのか分かんない。
親なら分かるのかなっていうイメージだったんですけど、それも積み重ねですよね。

そら いや、本当に、むしろ保育士さんの方が分かってる。昨日の話で、うちの下の息子はいたるって名前なんですけど、いたるくん、いたくんって呼ばれてたんです。
息子がお友達とおもちゃの取り扱いしながら「たっくの!たっくの!」って言ってて、保育士さんが「あ、いたるくんの!って言ってるのね」って。私は保育士さんに言われてやっと「自分のことたっくって言ってたのか!」って分かるっていう。

いたる…いたくん…たっくん、あ、なるほどなるほど、「いたる」の「い」は確かに発音しづらいよね、みたいな感じで、そういうのがすごい面白い。

松本 かわいいですね~。だんだんだんだん分かってきますよね。

そら はい~。

松本 上の子が4歳さんだったら、それこそ3歳から4歳ってすごい変わるなって思ってて。

そら あ、そうですね。確かにそうでした。

松本 誤解を恐れずに言うと、今までは、子猫とか子犬をかわいがるように、かわいいかわいいだったのが、だんだん1人の人間として確立してきて、なんだろう、かわいがるだけじゃないというか。年齢が上がると接し方も変わってきますよね。

そら はい。けっこう親の言ってることやってることも真似されて、「ああ、親の背中を見て育つってこういうことか…」みたいなのもすごくありました。
うちの子、偏食がちょっとひどいんですけど、興味を示したから「じゃあ食べる?」って聞いたら「いらない」って言われて「いらないんかーい!」ツッコむ、みたいなことしてたら、最近何かのときに、上の子が「◯◯なんかーい!」って辿々しい口調でツッコむようになってきちゃって「そういうとこ覚えられちゃうんだ…」とか思いました。

松本 かわいいですね。

そら かわいいです(笑)。とてもかわいいです。でも喋る前までって、本当、犬とか猫を愛でている感じなんですよね。それがすごく幸せな時間だったんですけど、喋るようになってきて「あぁこうやって人になっていくんだなぁ」って思うようになりました。

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