新たな家族と、家族との新たな関わり
俳優 結城洋平
結婚して10年。
2人で気ままに過ごしてきた私たち夫婦のところに昨年10月息子が産まれました。今は体操選手が最後に決める着地のように、絶妙にバランスを保ちながら10点満点を目指して立とうしている息子。そして妻と俳優の私。家族が1人増え激的に変化した3人で幸せに暮らしています。 とはいえ。 毎日朝5時起床。 5時30分にミルクを作り飲ませて、寝てる間にパンパンになったオムツを替え、朝寝をする日しない日を見極めて遊ぶor寝かしつける。寝たら自分達の朝食を用意して哺乳瓶を洗い、身支度を交代でしている間にベビーモニターがそろそろ起きそうだよと教えてくれる。起きたら少し遊んでその間に妻が1回目の離乳食の準備。整ったらみんなで朝食。 ここまでで朝の9時。 夫婦2人で暮らしてた頃の私は前日のお酒がまだ残りながら寝ぼけていた時間でした。なんならまだ寝てる時間です。 朝食が終わったら片方はミルクを飲ませ、片方は食器の片付け。準備して仕事に向かう。
ある俳優の先輩が、かつて子育てのことを 「毎日確定申告をしているかのようだ。」 と形容していました。そこまで大変なことがあるのか。と思っていましたが、そんな日々が今ココにありました。身構えることができました。 先輩ありがとうございます。
今までは仕事に行くことへのハードルはゼロでした。 普段は演劇やドラマなどの映像の仕事やNHK Eテレの番組「ストレッチマン・ゴールド」などの仕事が多いです。共働きのため妻も日々仕事へ。 2人とも働きに行ってしまうとその間に子供と過ごす人がいなくなってしまう。 0歳児から預かってくれる保育園も近所にはなく、気持ち的にもまだまだ一緒に居たい。 つい先日までは仕事に行くことがハードルどころではなく、反り立つ壁のように目の前に立ちはだかっていました。
今年の8月は浅草の劇場で演劇の仕事がありました。 特に演劇の現場となると本番期間中はもちろん、稽古もほぼ毎日。 全日程で1ヶ月近くあります。そんなスケジュールのなか無事千穐楽を迎えられたのはサポートしてくれた家族の存在がとてつもなく大きいです。 子供が生まれる前に友達の先輩父母からのアドバイスで「家族には甘えられるだけ甘えなね。」と聞いていた通り、今は甘えられる存在の大きさに日々感謝しています。 稽古期間中は義母がほぼ毎週末、金曜日から日曜日まで。 義姉は平日の仕事が空いている日に我が家に泊まり込んで手を貸してくれていました。
【以下義母:たつ子ばぁば(仮)。以下義姉:つーちゃん(仮)。】
たつ子ばぁばは普段保育園で働いています。園では0歳児も担当している最強の助っ人です。つーちゃんは妹である私の妻のことが大好きです。そんな妹の子ども、初めての甥っ子に全愛情を注いでくれる最強の叔母です。最強のふたりが助っ人にきてくれて手が足りていない掃除や洗濯から子どもの面倒まで、稽古期間中は特に頼りっぱなしでした。 更に自分がそうしてもらっていたから。 という理由で今までの子どものミルクを全部買ってくれています。申し訳なくて自分でお会計をしようとすると「私も買ってもらっていたから。」と言いながらレジと私の間に体をねじ込んで買ってくれます。ミルクが足りない時はつーちゃんも。
本番期間中のたつ子ばぁばと、つーちゃんは「私たち宿をとるわ。」と浅草の劇場近くに2泊3日でホテルを抑えてくれて開演中の時間はもちろん、それ以外の時間も浅草観光しながら面倒を見てくれていました。 更に義父のマサじぃじ(仮)も、たつ子ばぁばとつーちゃんを車で送迎して協力してくれていました。 これまでは妻のご家族には多くても年に数回会う程度でした。私は仕事などで会えない年もあったかと思います。しかし今は週2回はお世話になっている。これほど関係が密になったのは明らかに子どもが産まれてきてくれたからです。
状況は違えど、どの家族にも子どもと生活するうえで乗り越えなければいけないハードルはあるのだなと思います。特に産前は色々な不安や気がかりなことも多かったのですが、今は頼れる家族のサポートのおかげで、反り立つ壁がちょっとした上り坂に思えます。
これからも沢山甘えていこうと思います。 あ、たつ子ばぁば。そろそろミルクがなくなりそうです。

